「消費減税」論者は注目すべし 菅首相の通話料値下げで分かること
消費税を減税するには法改正が必要となるので、実現のハードルが極めて高い。しかも、一旦引き下げて、あまり効果がなかった場合、その後の経済・財政運営は極めて難しくなる。だが、通信料金の引き下げは、場合によっては行政指導レベルで済むため、圧倒的に手続きが簡便であり、しかも消費減税効果がどの程度なのか予行演習できる。
筆者は政府が民間企業の経営に介入することについて、あまり賛成する立場ではないが、消費減税の効果を実体経済で試せるという点では、この施策を行う価値はあると考えている。通信料金の4割削減で消費が大幅に拡大すれば、減税による経済成長という議論が一気に活性化するだろうし、仮にほとんど効果がなかった場合には、減税で成長を実現するという話は幻想だったことが明らかとなる。
もっとも携帯電話会社の業績が大幅に落ちると、株価下落や配当減少などにより公的年金の運用にも悪影響が及ぶ。引き下げの副作用については、十分なコンセンサスを得ておく必要があるだろう。
<本誌2020年10月6日号掲載>

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