米ネオコン外交の終わりと日本の矜持
日本はこの新しい状況に応じて外交、ものの考え方を変えないといけない。安全保障面でアメリカに大きく依存してきた日本は、その借りを返すために外交では「アメリカに貢献」することを柱としてきた。安倍政権初期の「自由と繁栄の弧」なども、その一例である。しかし今の日本は、そこまでアメリカに「忖度」する必要はない。「自由と民主主義」は自分のためにあれば十分で、それを途上国に上から目線で押し付ける必要もない。そしてアメリカに過度に依存したり、中国に脅されたりしないよう、自前の防衛力を強化することだ。
その上で、日本とはどういう国で、世界で何を欲しているのか、マジョリティーの世論を形成していく。その過程で、戦前は議会の権能が不十分だったために、軍部の専横がまかり通ってしまったことへの反省を、若い世代も含めて広くシェアすることが必要だ。
脱イデオロギーの時代。外交は理念の良し悪しではなく、結局、政官民での付き合いの広さ、深さ、そして国全体が持っているイメージの良し悪しで決まることになる。外交官も含め、上から目線、そして手続き優先の官僚主義を捨て、人と人としての付き合いをしていかないといけない。
【関連記事】
ウクライナでロシアとNATOは直接対峙するか?
「トランプの逆襲」で世界はどうなる?

アマゾンに飛びます
2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
領土は売買できるもの――「トランプ新世」の価値観に対応せよ 2025.03.28
アメリカの対中優位は揺るがないのか......「旧友」ジョセフ・ナイ教授との議論 2025.03.15
ウクライナ停戦は世界のパラダイムシフトを引き起こすのか 2025.02.28
日本でも世界でも、公共事業で整備された近代インフラは老朽化でもう限界 2025.02.14
ゼレンスキー主演『国民の僕』あらすじから占う、2025年ウクライナ情勢と停戦後の命運 2025.02.01
駐留米軍は本当に必要なのか? 戦後80年の日米関係を棚卸しせよ 2025.01.14