- HOME
- コラム
- 本好きに捧げる ホメない書評
- ノーベル賞受賞者が言ったから、イベルメクチンを「盲…
ノーベル賞受賞者が言ったから、イベルメクチンを「盲信」していいのか?
「権威」の言うことが常に正しいとは限らない
もう1つ、本書で気になるのは編集の在り方だ。大村氏を前面に押し出すのは良かったのだろうか。ノーベル賞は確かに権威であり、受賞者の発言は重く受け止められる。普通の科学者やジャーナリストの発言とは社会的な影響力が違うのも事実だ。政府とも、医学界の主流とも異なる見解を述べる姿勢を痛快に思う人もいるだろう。なんといっても、本書は全国学校図書館協議会選定図書だ。しかし、権威が「こう言っているから」といっても、それが正しいとは限らない。
イベルメクチンは救世主候補だったことはあっても、救世主になり得る可能性は後退している。現状を覆す論文が発表されるのなら、早く読みたいと心から思うのだが。

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
この筆者のコラム
「敵をぶった斬る」式極論の深すぎる罪 2022.07.30
ノーベル賞受賞者が言ったから、イベルメクチンを「盲信」していいのか? 2022.06.14
オリバー・ストーンの甘すぎるプーチンインタビューと、その重すぎる代償 2022.05.23
元駐ウクライナ大使、大いに陰謀論を語る 2022.04.12
自画自賛する「コロナの女王」本にサイエンスはあるか? 2022.03.17
「派閥愛」を語りたがる岸田首相にビジョンはあるか 2022.02.15
サッカー日本代表の森保監督に刺さる8年前の「ブーメラン」 2022.01.18