米ハーバード大、トランプ政権の要求拒絶 補助金23億ドル凍結

米ハーバード大学のアラン・ガーバー学長は14日付の公開書簡で米教育省からの一連の要求について「私立の教育機関として学問の追究、創出、普及に専念する当大学の価値」を脅かすとして拒否する姿勢を示した。マサチューセッツ州ケンブリッジで2023年12月撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)
Brad Brooks Ismail Shakil
[14日 ロイター] - 米ハーバード大学のアラン・ガーバー学長は14日付の公開書簡で米教育省からの一連の要求について「私立の教育機関として学問の追究、創出、普及に専念する当大学の価値」を脅かすとして拒否する姿勢を示した。
ハーバード大が態度を表明してから数時間後に、トランプ政権は同大への連邦政府からの23億ドルの資金提供を凍結すると発表した。
教育省は11日付の書簡でハーバード大に対し、多様性・公平性・包括性(DEI)重視方針の撤回や一部の学部への審査開始などの要求を突き付けた。トランプ政権はこれまで同大学のDEI重視方針を非難してきた。
ガーバー氏は公開書簡で「私立の大学が何を教えるか、誰に教えるか、誰を雇用するか、どの分野の学問と問題を追究できるかについて、いかなる政府も、どの政党が政権を握っているかにかかわらず、指示すべきではない」と訴えた。
トランプ政権はいくつもの大学に対し、反ユダヤ主義の取り締まり怠ったとの理由から、方針などの変更を求めて連邦政府の補助金給付を凍結している。
ガーバー氏は「トランプ政権に全般的に反対している左派的思想の持ち主を探し出すため学生、学部、スタッフの見解を『審査』すべきとする連邦政府の要求は、憲法で保障された言論の自由の権利を侵害している」と指摘。「当大学は独立性や憲法で保障された権利を放棄しない」と付け加えた。
ホワイトハウスのフィールズ報道官は声明で、トランプ大統領は「反ユダヤ主義が野放しにされる状態を終わらせるとともに、危険な人種差別主義や人種問題に動機付けられた暴力へのハーバード大の支持のために連邦政府の資金が提供されないようにすることで『高等教育を再び偉大にする』ことに取り組んでいる」と説明した。
反ユダヤ主義との闘いに関する教育省のタスクフォースは、ハーバード大が「連邦政府からの資金提供は公民権法を守る責任を伴わないという深刻な特権意識」を持っており、こうした意識は国内の最も権威ある大学に広く根付いていると主張した。
トランプ政権がハーバード大に対する約90億ドルの補助金や契約を見直す方針を表明したことを受け、ハーバード大の教授グループは先週、見直しの差し止めを求めて提訴した。