ギリシャ、欧州債務危機の第1次支援を10年前倒し返済へ

ギリシャ政府は、欧州債務危機に伴う金融支援のうち、第1次支援分を2031年までに完済する見通しとなった。期限よりも10年前倒しとなる。写真はピエラカキス財務相(左)。大統領府で3月に撮影(2025年 ロイター/Louiza Vradi)
[アテネ 11日 ロイター] - ギリシャ政府は、欧州債務危機に伴う金融支援のうち、第1次支援分を2031年までに完済する見通しとなった。期限の41年よりも10年前倒しとなる。政府高官2人が匿名を条件にロイターに明らかにした。
ギリシャ経済は危機から徐々に回復している。公務員給与の削減や年金改革など緊縮財政を実施し、社会不安を伴いながらも政府財政を立て直した。こうしたことが早期返還につながる見通しだ。
第1次支援の融資総額は530億ユーロで、既に220億ユーロを返済済み。高官2人によると、残る310億ユーロを年間概ね50億ユーロ(57億ドル)をめどに返済する。返済には、政府保有資金370億ユーロのほか、想定を上回る基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字と新規国債発行による歳入を活用する方針だ。
ピエラカキス財務相はロイターのインタビューで、支払時期や年額については触れなかったが、前倒し返済の意向そのものは認めた。「ギリシャが近い将来、欧州連合(EU)加盟国で最も債務の多い国という称号を返上できると確信している。これは現実的かつ達成可能な目標だ」と自信を示した。
財務相は、国内総生産(GDP)と比べた公的債務残高の比率は現在、ギリシャがユーロ圏で最も高いが、27年までに140%を下回ると見込まれると述べた。ただ具体的な数値は明らかにしなかった。
ギリシャは23年に投資適格格付けを回復し、借入コストが大幅に低下した。現在のコストはイタリアの方が高い。
ロイターに前倒し完済見通しを明らかにした政府高官2人によると、ギリシャの公的債務のGDP比は27年までに約135%に低下する見通しだ。イタリアよりも財政健全化が進む形となる。高官らは、イタリアは26年に138%に上昇すると予想されているため、ギリシャの方が低くなる可能性があると述べた。
ギリシャ危機は09年に発生した。EU経済を混乱させる恐れが高まったため、ユーロ圏各国と国際通貨基金(IMF)は10年から15年の間、3回にわたって計2800億ユーロの金融支援を実行した。ギリシャはIMFへの返済を既に完了している。