運河の主権保有者はパナマ、米が認識とパナマ政府発表

4月9日、ヘグセス米国防長官(写真)の訪問を受けて中米パナマ政府は、パナマ運河の主権を自国が持っていることを米国が認識したと発表した。4月9日、パナマ市で撮影(2025年 ロイター/Aris Martinez)
[パナマ市 9日 ロイター] - ヘグセス米国防長官の訪問を受けて中米パナマ政府は9日、パナマ運河の主権を自国が持っていることを米国が認識したと発表した。また、米国がパナマでの軍事演習を強化することで両国が合意したとも表明した。
米国とパナマが安全保障協力の強化で合意したことに関し、パナマが発表したスペイン語版の共同声明には「さらにヘグセス氏は、パナマ運河と隣接地域に対するパナマの指導力と不可分の主権を認めた」と盛り込んだ。これに対し、米国防総省が発表した英語版にはその一文が含まれていなかった。
トランプ米大統領はこれまでにパナマ運河を「取り戻す」と主張し、軍事力を行使する可能性もけん制していた。
ヘグセス氏はパナマ市での記者会見で「パナマ運河を共産主義国の中国から取り戻すのを手助けする」と訴えた。米当局者や専門家は、中国企業が保有する港湾などのインフラがスパイ活動に利用される可能性があるなどとし、米国が安全保障上の懸念を持っていることを正当化している。
一方、パナマ政府はパナマ運河を中国に支配されているとの米国側の主張を強く否定している。
また、パナマがパナマ運河の主権を持っていることを認めるのかと質問されたヘグセス氏は「パナマ運河はパナマにあることはもちろん認識しており、悪意のある影響力からパナマの主権を守ることは重要だ」と回答。続いて「だからこそトランプ氏はパナマ運河を中国の影響力から取り戻すと言っており、それには米国とパナマの連携が必要になる」とし、「パナマが米軍のローテーション、合同軍事演習を歓迎してくれていることを感謝している」と語った。
米国を発着するコンテナ船の年間輸送量のうち4割超、約2700億ドル相当がパナマ運河を経由しており、パナマ運河を通過する船舶の3分の2超を占めている。