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欧州有志国、ウクライナ支援継続を確認 安保部隊派遣に一部が合意

2025年03月28日(金)01時58分

マクロン仏大統領は27日、英独仏など欧州を中心とした有志国がウクライナに対する支援を継続することで合意したと述べ、ロシアに対する制裁措置を解除する時期ではないと改めて表明した。(2025年 ロイター/LUDOVIC MARIN/Pool via REUTERS)

[パリ/ローマ 27日 ロイター] - 英仏など欧州を中心としたウクライナ支援有志国は27日、パリで首脳会合を開き、長期的な支援継続を改めて確認した。ただ、ロシアとの和平合意成立後のウクライナに対する安全保障の提供を巡り、大きな進展は得られなかった。

ウクライナ支援を巡り米国が強固な後ろ盾ではなくなりつつあるとの懸念が欧州で高まる中、英仏などはウクライナ支援に向けた「有志国連合」の結成に動いており、今回の首脳会合は3回目。ウクライナのゼレンスキー大統領も参加した。

英国のスターマー首相は会合後の記者会見で、ウクライナが和平プロセスに臨む際に可能な限り強い立場を確保できるよう、一段の支援が必要との見解で各国首脳が一致したと述べた。ただ、詳細には触れなかった。

フランスのマクロン大統領は、和平合意が成立した場合、ロシアの将来的な侵略を抑止するためにウクライナに「安全保障部隊」を展開するという英仏の構想に複数の国が合意したと表明。「承知の通り、全会一致ではなかった。ただ、全会一致は必要ない」と述べた。

マクロン氏によると、軍の代表団が向こう数日のうちにウクライナを訪問し、ウクライナ軍の長期的な強化を検証する作業を開始する。

米国は英仏が提案する「安全保障部隊」を支持する姿勢を示していない。仏大統領府によると、マクロン氏は今回の会合に先立ち、米国のトランプ大統領と会談した。米国は今回の会合に参加していないが、フランスは会合の結果を米政府と共有する。

イタリア首相府は、国連がロシアとの停戦合意に関連して果たす役割について今回の会合で協議したと表明。「停戦の効果的な実施と監視の重要性について討議し、イタリア政府の立場に沿った形で、国連が果たす可能性のある役割が浮上している」とした。

ウクライナ支援国間に見解の相違がみられる中、イタリアのタヤーニ外相は前日、ウクライナへの部隊派遣に反対する姿勢を改めて示し、イタリアは国連の一部でない限り、部隊を派遣しない」と述べていた。

<対ロシア制裁解除は尚早>

米国の仲介で合意した黒海の停戦について、ロシアは西側諸国の制裁緩和が発効の条件になると主張。今回の会合で制裁措置の尚早な緩和は戦略的な誤りとの見解で広範な合意が得られた。

ゼレンスキー大統領は、ロシアに対する一段の厳しい制裁が必要と改めて主張。マクロン大統領は対ロシア制裁措置を解除する時期ではないとした上で、制裁措置に違反して原油などを輸送する「シャドーフリート」(影の船団)に対する圧力を継続することで合意したと述べた。

ドイツのショルツ首相は、現時点でロシアに対する制裁を解除することは「重大な過ち」とし、「和平が達成される前に制裁措置を解除することに全く意味がない」と語った。

英国のスターマー首相は「ロシアが遅延戦術を取り、駆け引きをしていることは明白だ」と指摘。ウクライナが可能な限り強い立場に立てるよう一段の支援を行う必要があるとし、「今は制裁を解除する時期ではない」と述べた。

ロイター
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