豪政府が予算案発表、新たな減税盛り込む 財政収支は赤字に転落

オーストラリア政府は25日、予算案を発表した。新たな減税とその他の生活費軽減策が盛り込まれた。財政収支は赤字に転落する。写真はチャーマーズ財務相。2023年7月、インドで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で撮影(2025年 ロイター/Amit Dave)
[シドニー 25日 ロイター] - オーストラリア政府は25日、予算案を発表した。新たな減税とその他の生活費軽減策が盛り込まれた。財政収支は赤字に転落する。
チャーマーズ財務相は、貿易戦争や地政学的緊張による新たな世界的リスクの高まりを踏まえ、経済の耐性と競争力強化に向けた新たな取り組みを発表。記者会見で「本予算は、不確実な新世界における繁栄のための基盤だ」とし「多くの国民が実感している生活費の高騰を念頭に置いた」と強調した。
近年の慣例に従い今回の予算案に盛り込まれた施策のほとんどは既に発表済みだった。ただ171億豪ドル(107億米ドル)規模の2つの減税措置はサプライズで、昨年導入された減税に続くものとなった。
最低税率の引き下げにより、平均的な収入の労働者は2027年6月に終わる年度に268豪ドル、翌年度は536豪ドルの減税となる。
公的医療への85億豪ドルの投資も盛り込んだ。電気料金の割り戻しを年末まで延長、公立学校への資金援助を拡大するほか、学生の負債を削減する。
25年度の基礎的財政収支は276億豪ドルの赤字と、3年ぶりに赤字に転落。赤字幅は昨年12月時点の政府予想の269億豪ドルから拡大する。
ムーディーズ・アナリティクスのアジア太平洋経済責任者カトリーナ・エル氏は予算案について、家計にとって一定の助けになるが、保険料や賃貸料などの根強いインフレには対処していないと指摘。
「インフレは連邦選挙に向けて依然として重要な問題だ。非裁量的な財・サービスの価格は引き続きパンデミック前の水準を大きく上回り、賃金が追いついていない」と述べた。
同社は豪準備銀行(RBA)が年内に50ベーシスポイント(bp)の追加利下げを実施するとの予想を維持している。