米情報機関「中国は最大の脅威」、AIで米凌駕 台湾制圧能力も進展

米情報機関は25日、世界の脅威に関する年次報告書を公表し、中国が引き続き米国にとって最大の軍事的およびサイバー上の脅威という認識を示した。(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)
[ワシントン 25日 ロイター] - 米情報機関は25日、世界の脅威に関する年次報告書を公表し、中国が引き続き米国にとって最大の軍事的およびサイバー上の脅威という認識を示した。
報告書は情報機関トップが議会上院の情報委員会で証言を行うのに合わせて公表。中国について、通常兵器による米国への攻撃に加え、インフラに対するサイバー攻撃、米国の宇宙資産を標的にする能力を有しており、2030年までに米国を超える人工知能(AI)国になることを目指していると指摘するなど、中国に対する懸念が全33ページの報告書の約3分の1を占めた。
ロシアについては、イランや北朝鮮、中国と同様に、計画的な作戦を通じ米国に挑み、優位に立とうとしていると指摘。さらにロシアのウクライナ侵攻が「大規模戦争における西側の兵器や情報活動とどのように戦うかについて豊富な教訓」をロシアに提供したという見解を示した。
<中国による偽ニュース作成、台湾制圧などを懸念>
報告書は、中国軍は大規模言語モデルを使用し、偽ニュースの作成や、攻撃ネットワークの構築などを計画している可能性が高いと指摘。「中国はほぼ確実に、2030年までに米国を世界で最も影響力のあるAI大国の座から追い落とすことを目的とした、多面的な国家レベルの戦略を持っている」とした。
また、中国は台湾に対する軍事、経済的な圧力を強める構えを示していると指摘。「人民解放軍は台湾を制圧し、米軍の介入を抑止、打破するために使用する能力を、一様ではないものの、着実に進展させている」とした。
ギャバード国家情報長官は情報委員会での証言で、中国を米国の「最も高い能力を持つ戦略的競争相手」と位置付け、「中国軍は極超音速兵器、ステルス航空機、先進的潜水艦、強化された宇宙・サイバー戦能力、大規模な核兵器の備蓄など、高度な能力を配備している」と述べた。
報告書は同時に、中国は汚職、人口構成の不均衡、財政、経済的な逆風など「困難な」課題に直面しているとも指摘。共産党支配の正当性が損われる可能性があるとしたほか、消費者と投資家の信頼が低水準にあることで、経済成長の減速が続く可能性があるとの見方も示した。
報告書の内容についてワシントンの在米中国大使館の報道官は、米国は長年にわたり、軍事的覇権を維持する口実として中国の脅威を「誇張してきた」と指摘。「中国は世界の平和、安定、進歩のための力になることを決意している。国家主権、安全保障、領土保全を守る決意もある」と述べた。