独主要与党の財政拡張策、緑の党などが拒否 実現見通せず

3月13日、ドイツの次期首相への就任が見込まれるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を率いるCDUのメルツ党首は13日、主要与野党が合意した巨額の財政拡張策への支持を訴えた。写真は、ドイツ連邦議会で発言するメルツ首相。同日、ベルリンにて撮影(2025年 ロイター/Lisi Niesner)
Sarah Marsh Thomas Escritt Matthias Williams
[ベルリン 13日 ロイター] - ドイツの次期首相への就任が見込まれるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を率いるCDUのメルツ党首は13日、主要与野党が合意した巨額の財政拡張策への支持を訴えた。
総選挙で第1党になったCDU・CSUとショルツ首相の中道左派ドイツ社会民主党(SPD)は4日、国防費などの増強に向けて厳格な債務抑制策を緩和することで合意した。
メルツ氏は、景気回復を後押しし、防衛費を拡大するために5000億ユーロのインフラ基金を創設し、借入規則の抜本的な変更を承認するよう議会に働きかけている。
防衛費については、ロシアや信頼関係が揺らぐ米国が欧州を危険にさらす恐れがあるとし、増額の緊急性を訴えた。
3月25日に新議会が召集される前に資金を確保したい考えだが、AfDと緑の党によって阻止される可能性がある。
メルツ氏は「ここ数日、数週間、世界中がドイツに注目している。われわれには、国境や国民の幸福をはるかに超えた課題がある」と述べ、「この責任を果たさなければならない」と強調した。
ドイツの財政政策転換を受け、市場はここ1週間大きく変動し、ユーロはドルに対して5カ月ぶり高値を付けた。
メルツ氏は連邦議会下院で譲歩案を示したにもかかわらず、憲法改正に必要な3分の2を確保するために必要な緑の党の支持を得るのに苦慮した。
緑の党はこの日の審議で、メルツ氏が気候変動や貧困などの問題を棚上げし、自身の支持基盤を満足させるための減税などに予算を充てるための口実として欧州の安全保障を利用していると非難した。
AfDもメルツ氏が議会で自身の案を強引に押し通すことで国民の民主的な意思を無視し、ドイツの強力な信用格付けを危険にさらしていると非難した。
合意に至らなければ、CDU・CSUとSPDが進める連立協議がとん挫し、両党の計画の財政的基盤が失われる恐れがある。新議会には他に実行可能な連立の選択肢がほとんどなく、再び総選挙を行うことになるかもしれない。