欧州の兵器輸入、過去4年間で急増 ウクライナが最大の輸入国

3月10日、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が発表した報告書によると、欧州の兵器輸入は2020-24年に155%増えた。また22年のロシアのウクライナ侵攻を受け、ウクライナは世界で最大の兵器輸入国となった。ウクライナのザポロジエ州で2月撮影(2025年 ロイター)
Simon Johnson
[ストックホルム 10日 ロイター] - スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が10日発表した報告書によると、欧州の兵器輸入は2020-24年に155%増えた。また22年のロシアのウクライナ侵攻を受け、ウクライナは世界で最大の兵器輸入国となった。
2020-24年に世界の兵器輸出に米国企業が占める比率は43%となり、15-19年の35%から上昇。世界の兵器市場を米国が牛耳る状況が続いていることが示された。
欧州は20-24年に世界の兵器輸入の28%を占め、比率は15-19年の11%から上昇した。
ウクライナが世界の兵器輸入に占める比率は20-24年に8.8%となった。ウクライナの兵器輸入の半分弱は米国からの輸入だった。
米国は20-24年に欧州の兵器輸入の50%超を供給。欧州勢で米国から最も兵器を輸入した国には英国、オランダ、ノルウェーが名を連ねた。
SIPRI武器移転プログラムの上席研究員、ピーター・ウェズマン氏は「欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国は第1次トランプ米政権の期間にロシアおよび米国との関係が悪化した中、兵器の輸入への依存度を引き下げるとともに欧州の兵器産業を強化するための措置を講じた」と指摘。「だが兵器供給を巡る欧米間の関係は根が深い。米国からの輸入は増えており、欧州のNATO加盟国は米国への発注残として依然、約500機の戦闘機や多数の兵器などがある」と述べた。
ロシアが世界の兵器輸出市場に占める比率は20-24年に7.8%となり、15-19年の21%から低下した。ロシアのウクライナ侵攻を受けた国際的な制裁と、ロシア国内の兵器需要拡大が影響した。