米副大統領、欧州の規制・政治巡り批判展開 独国防相ら猛反発
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米国のバンス副大統領(写真)は14日、ドイツで開幕したミュンヘン安全保障会議の基調演説で、ロシアによるウクライナ侵攻について「合理的な解決」が達成されることを望むとの考えを示した。同日撮影(2025年 ロイター/Wolfgang Rattay)
Jonathan Landay Andrew Gray Andreas Rinke
[ミュンヘン 14日 ロイター] - 米国のバンス副大統領は14日、ドイツで開幕したミュンヘン安全保障会議の基調演説で、ロシアによるウクライナ侵攻について「合理的な解決」が達成されることを望むとの考えを示した。ただ、ウクライナに関する言及は少なく、ヘイトスピーチや誤情報の規制を巡り欧州連合(EU)を激しく非難する場面が目立った。これに対しドイツのピストリウス国防相が激しく反発。ウクライナ和平を巡る議論に影を落としている。
バンス氏は、欧州の政治家が自国民を恐れていると強い口調で非難。欧州の民主主義に対する真の脅威はロシアや中国ではないとした上で、「私が懸念しているのは内部からの脅威、つまり欧州が米国と共有する最も基本的な価値観から後退していることだ」と主張した。
ピストリウス独国防相はこの発言について「受け入れられない」と反発。ドイツだけでなく欧州全体の民主主義に疑問を投げかけたと反論した。
欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表も、米国が欧州に「けんかを売ろうとしている」ように感じられたとの見方を示した。
この衝突はトランプ米新政権と欧州首脳の見解の相違を浮き彫りにし、長年の同盟国である米国と欧州がウクライナ問題などの問題で共通の立場を見出すことを困難にした。
多くの会議出席者は、驚いて沈黙しながらバンス氏の演説を見守った。演説の間、拍手はほとんどなかった。
ロシアによる欧州政治への介入リスクについて否定する場面もあり、会場からは驚きの声が上がった。トランプ米大統領も、ロシアが2016年の大統領選に介入したとする米情報機関の主張を強く非難している。
トランプ米大統領が12日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争終結に向けた交渉を直ちに開始することで合意したと言明する中、多くの会議参加者からはウクライナおよび和平交渉の見通しに関心が寄せられていた。
バンス氏は演説に先立ち、トランプ大統領はプーチン氏に対する影響力行使のために、経済的、軍事的な手段を使う可能性があると述べたほか、欧州諸国に対し国防費を増やすよう促した。