世界のLNG需要、向こう数年で大きく拡大へ=シェル
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2月12日、英石油大手シェルは公表した報告書で、長期的なエネルギー動向を分析するための3つの異なるシナリオを示し、世界の液化天然ガス(LNG)への需要は今後数年間で大きく拡大するとの見通しを示した。写真はLNGターミナル。横浜で2019年10月撮影(2025 ロイター/Yuka Obayashi)
[ミラノ 12日 ロイター] - 英石油大手シェルは12日公表した報告書で、長期的なエネルギー動向を分析するための3つの異なるシナリオを示し、世界の液化天然ガス(LNG)への需要は今後数年間で大きく拡大するとの見通しを示した。一方で天然ガスの需要は、より緩やかな動きにとどまる公算が大きく、石油需要は2030年代初頭に頭打ちとなる可能性があるという。
経済成長の面で最も明るい見通しに基づくシナリオは「サージ」と名付けられ、人工知能(AI)の普及によって世界的に生産性が向上し、エネルギー需要を押し上げると想定している。
第2のシナリオは「アーキペラゴズ」と称され、世界各国はAI活用の拡大や再生可能エネルギー源の開発で協力するよりも、自国の利益を重視すると想定。
第3のシナリオ「ホライズン」は、世界の二酸化炭素(CO2)の正味の排出量は2050年までにゼロに減少し、世界の今世紀末までの平均気温上昇幅は1.5度未満に抑えることができると見込んだ。
シェルは報告書に「3つのシナリオ全てで、LNGの生産はカタールと米国のプロジェクトがけん引する形で短期的に大きく伸び、30年ごろまでに年間生産量が5億5000トンに達する」と記した。
30年以降は、LNGの見通しはシナリオによって大きく分かれた。「サージ」のシナリオではLNGの供給は増え続けて40年以降に年間7億トンに達する。一方で「ホライズン」のシナリオでは、LNG需要は30年代序盤に頭打ちとなる。
天然ガスは「サージ」のシナリオでは45年まで拡大するが、「ホライズン」では50年までに正味排出量ゼロの目標を達成するために極めて短期間でピークに達する見込みだ。
シェルは「サージ」のシナリオで世界の石油需要が30年にピークに達する主な要因として、道路交通手段の電動化を挙げている。
シェルは3つのシナリオ全てで、エネルギー需要に上振れ圧力が見られると指摘。「これらのシナリオは、一次エネルギーの需要は50年に、経済成長率やエネルギー効率の向上、電動化のペースといった要因次第では24年時点よりも4分の1程度高まる可能性があることを強調している」と説明した。
シェルはこれら3つのシナリオについて、自社の戦略や事業計画を反映したものではないとしている。