米首都近郊の旅客機と軍ヘリの空中衝突、空域運用の課題浮き彫り
米首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港付近で29日、アメリカン航空旅客機と米陸軍のヘリコプター「ブラックホーク」が空中衝突した。30日、現場付近で撮影(2025年 ロイター/Nathan Howard)
David Shepardson
[アーリントン(米バージニア州) 30日 ロイター] - 米首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港付近で29日、アメリカン航空旅客機と米陸軍のヘリコプター「ブラックホーク」が空中衝突した。周辺空域では民間機と軍用機が多数飛行しており、運用上の問題が浮き彫りとなった。
事故は、旅客機がレーガン空港に着陸しようと接近中に発生した。管制塔との交信から、ヘリの乗員は旅客機との接近を認識していたことが判明している。ダフィー運輸長官は30日、両機の飛行経路は異常なものではなく、標準的な飛行だったと言及した。
事故が発生したポトマック川沿いでは軍用ヘリや旅客機が多数飛行している。周辺には多数の軍事基地や3つの主要空港があるが、レーガン空港は特に混雑し、1日当たり800回以上の離着陸が行われ、乗客数で全米24番目に利用者の多い空港となっている。
また、米政府説明責任局(GAO)の2021年の報告書によると、19年までの3年間でレーガン空港から48キロ以内で8万8000機のヘリが飛行していた。
今回の事故を受け、ダフィー氏は民間機と軍用ヘリの十分な距離を確保するため「必要に応じて飛行経路を変更する適切な措置を講じる」と表明した。ヘグセス国防長官も、陸軍と国防総省が調査を開始したと述べた。
米国では近年、航空機同士が異常接近(ニアミス)する事案が複数回発生。航空管制官の不足により全土で運航の遅延や安全上の懸念が高まっていた。米連邦航空局(FAA)は24年10月、米国で利用の多い45の空港で関連するリスク調査を開始しており、25年に各空港のリスクや安全性強化の提言などがまとまる見込みとなっている。
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