韓国GDP、第4四半期は+0.1% 政治危機が見通しに影
Jihoon Lee
[ソウル 23日 ロイター] - 韓国銀行(中央銀行)が23日発表した2024年第4・四半期の国内総生産(GDP)速報値は、季節調整済み前期比0.1%増加した。わずかな成長にとどまり、ロイターがまとめた市場予想(0.2%増)を下回った。第3・四半期も0.1%増だった。
過去数十年で最悪の政治危機に陥る中、国内需要が打撃を受けた。第2次トランプ米政権発足で外部リスクも高まっており、成長はさらに阻害される可能性がある。
韓国では12月、尹錫悦大統領の戒厳令宣布を巡り、国会が尹氏の弾劾訴追案を可決し、尹氏は職務停止となった。尹氏の職務を代行していた韓悳洙首相の弾劾訴追案も可決された。政治の混乱を受け、消費者・企業心理が落ち込んだ。
中銀は尹氏が12月3日に戒厳令を宣布する約1週間前に第4・四半期GDPが0.5%増加するとの見通しを示していた。
中銀当局者は23日の会見で「政局不透明感により経済心理は大幅に弱まっており、第1・四半期や通年のリスク要因として引き続き経済に影響を及ぼすだろう」と述べ、第1・四半期の成長率も中銀が昨年11月に示した見通し(0.5%)を下回る可能性があると警告した。
キャピタル・エコノミクスの市場エコノミスト、シバーン・タンドン氏も、「政治危機と建設部門の弱い見通しにより、経済活動の弱さが短期的に続く可能性がある」との見方を示した。
第4・四半期の個人消費は0.2%増、企業投資は1.6%増となったが、第3・四半期の0.5%増、6.5%増を下回った。建設投資は3.2%減少した。
輸出は0.3%増加し、前四半期の0.2%減から若干回復した。人工知能(AI)向け需要が堅調な半導体がけん引した。ただ、トランプ氏が警告している主要貿易相手国に対する関税が、韓国の輸出に打撃を与える可能性が懸念されている。
第4・四半期GDPは前年比では1.2%増加。第3・四半期の1.5%増、市場予想の1.4%増を下回り、23年第2・四半期以来の低い伸びとなった。
24年の成長率は2.0%で、23年の1.4%から加速したが、中銀は25年の成長率が1.6%か1.7%に鈍化し、2%前後の潜在成長率を下回ると予測している。
中銀は今月、通貨ウォンのさらなる下落を抑制するため予想外に政策金利を据え置いたが、来月は利下げを実施すると予想されている。