景気判断は維持、米政策動向・物価高・中国リスクなど「十分注意」=1月月例報告
1月23日、 政府は1月の月例経済報告で、景気の総括判断を「一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」で据え置いた。都内で2024年3定月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Tetsushi Kajimoto
[東京 23日 ロイター] - 政府は23日に公表した1月の月例経済報告で、景気の総括判断を「一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」で据え置いた。先行きについては引き続き中国の不動産市況の低迷などリスクに挙げ、物価上昇やトランプ政権が発足した米国の政策の影響などに「十分注意する必要がある」としている。
内閣府は昨年8月に1年3カ月ぶりに景気判断を「一部に足踏みが残るが緩やかに回復」に引き上げ、それ以降は同じ文言で据え置いている。
先行きについても前月と同様に、緩やかな回復が続くと期待されるとする一方、欧米の高金利や中国不動産市場の停滞など海外景気の下振れが景気下押しリスクとなっていると指摘。国内個人消費の回復の足かせとなっている物価高や、米国の政策動向、中東地域を巡る情勢、金融資本市場の変動などの影響に十分注意する必要があるとした。
内閣府幹部は米国の政策について、トランプ政権は「関税や移民、減税、規制緩和など幅広い政策を示しており、それらが良くも悪くもどのような影響を及ぼすのか注視したい」と述べた。
自国第一主義を掲げるトランプ米政権の下で保護主義貿易の台頭や世界経済の停滞が懸念されているが、月例報告では日本の対米投資は2019年以降5年連続首位、米国現地での雇用者数も製造業では1位と、「現地雇用の創出に寄与している」と説明した。
項目別では、個人消費、設備投資、輸出などは判断を維持した。
変更は倒産件数の判断引き上げのみで、「おおむね横ばいとなっている」とした。上方修正は昨年9月以来4カ月ぶり。24年の倒産件数は1万件超と11年ぶりの多さだったが、直近ではごく小規模な企業の倒産が多く、無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」返済開始のピークだった24年春を経て「増勢が鈍化して横ばいになった」と分析している。
※〔表〕月例経済報告の景気判断の推移は以下をご覧ください