リスク増やす想定でないと理解=運用利回り引き上げ提案でGPIF理事長
1月23日、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の宮園雅敬理事長は23日の会見で、厚生労働省が運用利回り目標を0.2%引き上げ1.9%にする案を示していることについて「新たに今以上、リスクを増やして運用するという想定ではないと理解している」と述べた。 写真は、GPIFのロゴ。2018年11月16日に都内で撮影。(2025年 ロイター/Toru Hanai)
Miho Uranaka
[東京 23日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の宮園雅敬理事長は23日の会見で、厚生労働省が運用利回り目標を引き上げる案を示していることについて「新たに今以上、リスクを増やして運用するという想定ではないと理解している」と述べた。同案が、現在のGPIFの基本ポートフォリオを2001年度から継続していた場合1.9%が達成できたとして厚労省が示した数値であることを踏まえ、個人的な感想として話した。
厚労省は、GPIFが運用する公的年金資産の利回り目標を現在より0.2ポイント引き上げて1.9%にする案を示し、議論を進めている。GPIFは、厚労省が示す新たな運用方針を踏まえて基本ポートフォリオを見直す。検討委員会が2024年度内をめどに決定し、次期中期計画に盛り込まれる。
宮園理事長は、社会・環境的な好影響と投資リターンを同時に追求する投資手法であるインパクト投資への対応についても触れ、「趣旨を咀嚼(そしゃく)した上で、次の取り組みを準備する」と語った。新しい投資を始める場合、運用に相応しい手法を確認・検討した上で段階を経て導入するとし、「少し時間軸を置いた取り組みとなる」との考えを示した。
GPIFは基本ポートフォリオ運用に関して、インハウス運用による株価指数先物取引の活用や、ファンドの状況を前営業日ベースで把握できるシステムを構築するなど、今中計期間にリバランスの精緻化を図ってきた。宮園理事長は「巨大なポートフォリオを、ボラティリティの高い環境の中で、市場にインパクトを与えず、精緻なリバランスを行うことは極めて難易度が高い作業」とし、「資産規模が大きくなるにつれ難易度が高まるが、唯一無二の専門性を示していきたい」と話した。今中計期間中の累積収益額は約96兆円となっている。
GPIFは24年9月末時点の運用資産額が約248兆円に上る世界最大規模の年金基金。20年4月以降、国民が収めた年金の積立金などを外国株式、国内株式、国内債券、外国債券に25%ずつ配分する「基本ポートフォリオ」に沿って運用を行っている。