南アの違法金鉱で78人の遺体、 労組側は食料・水遮断の警察非難
1月15日、警察が数カ月にわたって食料と水の供給を遮断していた南アフリカ・スティルフォンテーンの違法な金鉱山での救出活動で、少なくとも78人の遺体が見つかった。写真は救出された鉱山労働者達。南アフリカのスティルフォンテーンで14日撮影(2025 ロイター/Ihsaan Haffejee)
Nellie Peyton
[スティルフォンテーン(南アフリカ) 15日 ロイター] - 警察が数カ月にわたって食料と水の供給を遮断していた南アフリカ・スティルフォンテーンの違法な金鉱山での救出活動で、少なくとも78人の遺体が見つかった。労働組合側は、生活の糧を得ようと必死になっていた労働者への「恐ろしい」取り締まりだと警察の対応を非難した。
裁判所の命令による救出活動が13日に始まって以来、計246人の生存者が地上に引き上げられ、うち一部は衰弱して方向感覚を失っていた。生存者は違法採掘や不法滞在の容疑でただちに逮捕された。
スティルフォンテーンは南ア最大都市ヨハネスブルクの南西にある。救助に当たったボランティアは鉱山の地下2キロ地点に降り、15日の夜遅くに警察に対して坑道に誰も残っていないのを確認したと語った。
報道担当者は、遺体と生存者が残っていないと確認するために救助隊が16日も活動を続けると説明した。その前には数十人、または数百人が依然閉じ込められている可能性があるとの懸念が出ていた。
南アフリカ労働組合連盟(SAFTU)は14日、国が鉱山労働者の「地底での餓死」を許容していると追及。これらの労働者の多くはモザンビークや他のアフリカ南部の国々からの非正規労働者だったと指摘した。
労組のリーダーで、鉱山労働者の救出に尽力してきたマメトルウェ・セベイ氏によると、昨年8月に警察は鉱山労働者に食料や水を供給するための滑車システムを撤去し、鉱山労働者を強制的に地上へ出させようとしたようだ。セベイ氏は、一部の労働者は脱出しようとして浸水した坑道を這いずり回り、死亡したと語った。
警察は昨年8月から救出活動開始までの間に1576人が自力で脱出したと説明した。全員が逮捕され、うち121人はすでに国外追放されたと話している。
南アフリカ警察のアスレンダ・マテ国家報道官は15日未明に現場で「私たちは坑道を封鎖したことはない。出てくる人を阻止したこともない」と主張。さらに「私たちの任務は犯罪と闘うことであり、それこそが私たちがやってきたことだ」とし、「食料、水、生活必需品を違法な鉱山労働者に提供することは、警察が犯罪をほう助し、犯罪を許すことになる」と主張した。
金が豊富に採れる南アの一部では、違法採掘が横行している。非正規の鉱山労働者が廃鉱に入り込み、残された物を採掘しようとすることが一般的で、犯罪集団の支配下にある場合もある。
スティルフォンテーンの鉱山労働者の大部分はモザンビーク出身で、他にジンバブエやレソトからの労働者も含まれる。警察によると、南ア国民はわずか21人だった。
死者の数が増えるにつれて南ア当局への批判も高まっているが、政府は違法採掘取り締まりの一環だと反論している
マンタシェ鉱業相は14日に現場で「これは犯罪行為だ。主に外国人によるわが国経済への攻撃だ」とし、昨年は違法採掘によって30億ドルを超える経済損失が出たと訴えた。
一方、アフリカ民族会議(ANC)が率いる連立与党の第2党となっている民主同盟は15日、鉱山での取り締まりは「とても手に負えなくなった」と批判して独立した調査を要求した。
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