レバノン新大統領に軍司令官、米などが支援 ヒズボラ影響力低下
レバノン国民議会は、レバノン軍のジョセフ・アウン司令官を大統領に選出した。9日、ベイルートで撮影(2025年 ロイター/Mohamed Azakir)
Timour Azhari Maya Gebeily Laila Bassam
[ベイルート 9日 ロイター] - レバノン国民議会は9日、レバノン軍のジョセフ・アウン司令官(60)を大統領に選出した。米国などが支援する司令官が大統領に就くことで、レバノンに拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラの影響力の低下が示された。
アウン氏は2017年に米国が支援するレバノン軍の司令官に就任。米国はレバノンの国家機関を支援することでヒズボラの影響力を抑制する政策を取ってきたが、アウン氏の下でレバノン軍に米国からの支援が行き渡っていた。
アウン氏は大統領選出後に初めて議会で行った演説で、国家のみが排他的に兵器を保有することに尽力すると表明した。
多数の宗教や宗派が混在するレバノンでは権力が分担されており、大統領はキリスト教マロン派から選出される。前大統領の任期が2022年10月に終了して以降、諸派閥の分断を背景に議会で十分な票を獲得できる候補者で合意できず、大統領職は空席になっていた。
レバノン関係筋によると、ヒズボラが支持する候補者が立候補を取り下げ、アウン氏への支持を表明したことで、8日になってアウン氏への支持が高まった。フランスとサウジアラビアの特使がベイルートを頻繁に訪問し、アウン氏の選出を働きかけていたという。
また、サウジアラビア関係筋によると、フランス、サウジ、米国の特使がヒズボラと近い関係にあるレバノン国民議会のベリ議長に対し、サウジなどからの財政支援はアウン氏の大統領選出にかかっていると伝えていた。
アウン氏の大統領選出は、イランとヒズボラが長年にわたり影響力を持っていたレバノンで、サウジの影響力が再び高まったことを示しているとの見方も出ている。
昨年11月に米仏の仲介で合意されたヒズボラとイスラエルの停戦の条件には、双方の部隊撤退に伴いレバノン軍が南レバノンに展開することが含まれている。アウン氏はこの停戦合意を強化に重要な役割を担っていくとみられる。
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