「庶民派」のカナダ野党党首、反トルドー政権の波に乗って総選挙へ
1月8日、辞任を表明したカナダのトルドー首相(自由党党首)の後継者は、野党保守党党首で、国民の間に広がっている反トルドー政権の波に乗った舌鋒鋭いポピュリストのピエール・ポワリエーブル氏(45、写真)との激しい総選挙に間もなく直面する。写真はカナダのオタワで昨年12月撮影(2025 ロイター/Patrick Doyle)
Anna Mehler Paperny
[トロント 8日 ロイター] - 辞任を表明したカナダのトルドー首相(自由党党首)の後継者は、野党保守党党首で、国民の間に広がっている反トルドー政権の波に乗った舌鋒鋭いポピュリストのピエール・ポワリエーブル氏(45)との激しい総選挙に間もなく直面する。
世論調査によると、保守党は次期総選挙の世論調査で圧勝している。
2022年に党首となったポワリエーブル氏はエリート層と戦う庶民の代表と自身を位置付けており、トランプ次期米大統領と対比されてきた。
トルドー氏が次期自由党党首の決定後に辞任する意向を表明する前の今月3日に発表されたアンガス・リードの世論調査によると、ポワリエーブル氏はどの自由党党首候補よりも優勢だった。
専門家らはポワリエーブル氏が人気を集めたのは辛辣なコミュニケーション手法と、長らく続いたトルドー政権に対する有権者のうんざり感、インフレに対する不満に負うところが大きいと指摘する。ポワリエーブル氏は昨年4月に議会下院でトルドー氏のことを「いかれた奴」と呼んで退場させられた。
広報会社コナプタスの代表で、元保守党スタッフのジェイミー・エラートン氏は「ポワリエーブル氏はカナダ人が抱いている物価高騰への不満をうまく捉えている」とし、「変化への願望があるのは明らかだ」と指摘した。
ポワリエーブル氏は詳細な政策をほとんど提示していない一方で、評判が悪いトルドー政権の炭素税に言及して「アックス・ザ・タックス(税金をぶった切れ)」と強調し、気候変動を遅らせるために別の計画を提示するとしている。
ポワリエーブル氏の広報担当者はコメント要請に返答しなかった。
トランプ氏はトルドー氏の辞任表明前の6日、ポワリエーブル氏が次の総選挙で勝利した場合には一緒に仕事をすることを楽しみにしていると語った。
トランプ氏はラジオ番組で「とても良いことになる。私たちの意見は間違いなくより一致するだろう」と語った。
それでも、トランプが今月7日にカナダを米国の51番目の州にするために「経済力」を行使するかもしれないと語ったことに対しては、トルドー氏とポワリエーブル氏はそれぞれそんなことはあり得ないと交流サイト(SNS)で表明した。
カナダ経済が対米輸出に依存している中で、トランプ氏はカナダからの広範な輸入品に関税をかけると脅している。これはカナダ経済を麻痺させることになり、双方の利害は対立している。
ウェスタン大のアダム・ハームス准教授(政治学)は「貿易に関しては(ポワリエーブル氏は)トルドー氏とそれほど違わないだろうが、それは単に問題が同じであり、目標が同じだからだ」と話す。その上で保守党はトルドー氏の辞任表明を予見して自由党への攻撃を拡大し、党首候補のマーク・カーニー元カナダ銀行(中央銀行)総裁に「炭素税カーニー」の烙印を押したと指摘した。
カーニー氏は6日、党首選への出馬を検討していると語った。
トロント大学のネルソン・ワイズマン教授は保守党には勢いがあるとして「ポワリエーブル氏が今眠りに就いたとしても、大勝することができる」との見方を示した。
レジャイナ大のジム・ファーニー教授は「変化のための選択肢というだけではなく」、カナダで「どれほどの人々がポワリエーブル氏自身を支持しているのかを知るのは興味深い」と言及した。
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