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韓国国会、首相の弾劾訴追案を可決 国政の混乱深まる

2024年12月27日(金)19時05分

12月27日、韓国国会は本会議を開き、尹錫悦大統領の職務を代行している韓悳洙首相の弾劾訴追案を可決した。写真は大統領を代行する崔相穆経済副首相兼企画財政相。米ワシントンで4月撮影(2024 ロイター/Kevin Lamarque)

Hyunsu Yim Joyce Lee

[ソウル 27日 ロイター] - 韓国国会は27日に本会議を開き、尹錫悦大統領の職務を代行している韓悳洙首相の弾劾訴追案を可決した。これにより国政の混乱に拍車がかかる形となった。

定数300議席のうち192人が賛成票を投じた。与党「国民の力」の議員らは議長の演壇を取り囲んで抗議し、投票は無効であり議会は「暴政」を犯したと反発した。

韓氏は声明で、一連の出来事が次世代に及ぼす影響を憂慮しつつも、結果を受け入れると表明した。

「国会の決定を尊重し、さらなる混乱と不確実性を避けるため、法律に従って職務を停止する」とし、弾劾訴追を審査する憲法裁判所の決定を待つ考えを示した。国民の力は憲法訴訟を起こしたと発表した。

法律に基づき、崔相穆経済副首相兼企画財政相が大統領代行に就任する。報道官によると、崔氏は外相、国防相代行および軍司令官と会談する予定。

尹氏が非常戒厳令の発令を巡って14日に弾劾されたことを受けて、韓氏が大統領代行を務めてきた。

尹氏の弾劾訴追の妥当性を審理する憲法裁判所は現在、3人が欠員となっている。韓氏が欠員を補充する裁判官任命手続きを保留する方針を示したため、最大野党「共に民主党」は26日に韓氏に対する弾劾訴追案を国会に提出した。

投票が始まる直前まで韓氏の弾劾訴追案の可決に必要な議席数が不明確だったが、禹元植国会議長が在籍議員の3分の2以上ではなく過半数だと表明した。

採決に先立ち、野党「共に民主党」の李在明代表は27日、「内乱勢力を迅速に根絶することが、この国を正常化する唯一の道だ」と述べた。

<経済危機の恐れも>

崔氏は、大統領代行の弾劾は国の経済的信用を著しく損なうと述べ、撤回を求めていた。

韓国ウォンは議会採決を前に0707GMT(日本時間午後4時07分)時点で0.53%下落し、1ドル=1475.4ウォンとなった。

ユージーン・インベストメント&セキュリティーズのアナリスト、ホ・ジェファン氏は「韓氏の弾劾訴追は政治的不確実性を長期化させるだけだ」と述べた。

「金融市場の観点から言えば、(崔氏の)大統領代行就任は政治的混乱が続いていることを示しており、悪いニュースにしかならない」との見方を示した。

明知大学の政治学教授シン・ユル氏は、韓国が1990年代後半の壊滅的な金融危機に匹敵する経済的困難に陥る可能性があると警告した。

ロイター
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