米当局、政治家らに「暗号化通信」利用勧告 中国系ハッカー対策で
12月18日、米国土安全保障省傘下のサイバーセキュリティー・インフラストラクチャー・セキュリティー局(CISA)は、政治家や政府高官に対して通常の電話やテキストメッセージ送受信を直ちに取りやめ、エンドツーエンド暗号化(E2EE)通信のみを利用するよう勧告した。写真は、公共の施設塔に5G機器を設置する技術者ら。 2022年3月16日、カリフォルニア州レドンドビーチで撮影(2024年 ロイター/Mike Blake)
Raphael Satter AJ Vicens
[ワシントン 18日 ロイター] - 米国土安全保障省傘下のサイバーセキュリティー・インフラストラクチャー・セキュリティー局(CISA)は、政治家や政府高官に対して通常の電話やテキストメッセージ送受信を直ちに取りやめ、エンドツーエンド暗号化(E2EE)通信のみを利用するよう勧告した。米大手通信企業のシステムが中国系ハッカー集団の不正侵入にさらされている問題が背景にある。
送り手と受け手以外誰も内容を読むことができないE2EE通信の機能は、メタ・プラットフォームズのメッセージアプリ「ワッツアップ」やアップルの「iメッセージ」、秘匿性の高いアプリ「シグナル」などに組み込まれている。
一方そうした機能を備えていない通常の電話やテキストメッセージは、通信企業や法執行部門、場合によっては通信企業のシステムに侵入したハッカーらに読まれてしまう。
中国系ハッカー集団「ソルト・タイフーン」は、中国政府の指示を受け、まさにそうした手口で盗聴や情報窃取をしている、というのが米当局の見方だ。中国政府はスパイ行為を否定している。
CISA幹部のジェフ・グリーン氏は18日記者団に、この問題の捜査は続いていると説明。ソルト・タイフーンによる不正侵入は、米国の重要インフラを標的とする中国側の活動の一環で、公益企業やその他ネットワークに対しては「ボルト・タイフーン」と呼ぶ別の集団のサイバー攻撃もあると述べた。
その上で「われわれはこうした活動に備え、長期にわたって身を守ることが求められる」と強調した。
またCISAは、ワンタイムパスワードに基づくテキストメッセージの使用も避け、ハードウエアセキュリティーキー(物理的な認証キー)を用いてフィッシングによるパスワード窃取を防止することも提言した。
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