ニュース速報
ワールド

原発含め最大限活用へ、「依存度低減」を削除=次期エネ基原案

2024年12月17日(火)13時16分

 経済産業省は17日、「可能な限り原発依存度を低減する」という文言を削除した次期エネルギー基本計画原案を有識者会議に提示した。写真は神奈川県中井町の太陽光発電施設で2016年3月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Ritsuko Shimizu

[東京 17日 ロイター] - 経済産業省は17日、「可能な限り原発依存度を低減する」という文言を削除した次期エネルギー基本計画原案を有識者会議に提示した。AI(人工知能)の広がりなどで電力需要が増加する中、脱炭素電源の確保が産業競争力に直結することから、エネルギーの安定供給へ原発を含めて最大限活用する方針を打ち出す。

エネルギー基本計画は3年に1度改定しており、次期計画は今月内に取りまとめる。

デジタル化やクリーンエネルギー化の進展で電力需要の増加が見込まれる中、それに見合った脱炭素電源を確保できるかが国の産業競争力に直結すると指摘。エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現を目指す。「エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスの取れた電源構成を目指していく」とした。

半導体の省エネ性能向上、光電融合などの最先端技術の開発・活用、データセンターの効率改善などのほか、住宅などの省エネ化の推進などに取り組む。こうした徹底した省エネ、製造業の燃料転換などを進めるとともに「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する」と唱えた。

原子力については、2040年までに既存の原発のうち300万キロワット以上が運転期間60年に到達し、供給力が大幅に失われることを踏まえ、次世代革新炉の開発・設置に取り組む。現在は廃炉を決めた原発と同じ敷地内に限定している建て替えを、同じ電力会社の他の原発の敷地内でも容認する。

次期エネ基では、2040年度の再生可能エネルギーを4―5割程度(23年度は22.9%)、原子力は2割程度(同8.5%)、火力は3―4割程度(同68.6%)とした。

「原発依存度を低減する」という文言は、東日本大震災後の2014年に策定した計画で盛り込まれ、その後、維持されてきた。ロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰を受け、岸田文雄政権時の「骨太の方針」で原発の「最大限活用」を打ち出していた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、東海岸ドローン目撃情報巡り軍に説明促す

ビジネス

デンソー、米オンセミ株を一部取得へ 先進運転分野で

ワールド

韓国当局、大統領府の家宅捜索を再び試み 前回は庁舎

ビジネス

中国資本市場、過去最大の資金流出 トランプ氏選挙勝
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが物議...事後の悲しい姿に、「一種の自傷行為」の声
  • 2
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの国?
  • 3
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「TOS-1」をウクライナ軍が破壊する劇的瞬間をカメラが捉えた
  • 4
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 5
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 6
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 7
    メーガン妃は「ブランドのバッグを喜んで受け取る人…
  • 8
    ウクライナ侵攻によるロシア兵の死者は11万5000〜16…
  • 9
    爆発と炎上、止まらぬドローン攻撃...ウクライナの標…
  • 10
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 4
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 5
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 6
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 7
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 8
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 9
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 10
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中