仏内閣が電力増税方針を撤回 労働者負担軽減求める極右に配慮
11月28日、フランスのバルニエ首相は来年予算案に盛り込んだ電力増税方針を撤回した。写真は仏カーニュシュルメールのEV充電施設で2020年10月撮影(2024年 ロイター/Eric Gaillard)
Sudip Kar-Gupta Leigh Thomas
[パリ 28日 ロイター] - フランスのバルニエ首相は28日、来年予算案に盛り込んだ電力増税方針を撤回した。
内閣存続の上で支持が不可欠な極右政党、国民連合(RN)から予算案において労働者への負担を軽減しない限り、倒閣に動くと圧力を受けたことに対応した形。ただRNのバルデラ党首はX(旧ツイッター)への投稿で「われわれはここで立ち止まることはできない。まだ譲れない幾つかの線が残されている」と述べ、内閣不信任を避けるにはなお不十分だとの見解を示した。
来年予算案でバルニエ内閣は、財政赤字穴埋めのために総額600億ユーロの増税と歳出削減を打ち出し、その一環として電力消費税について約30億ユーロの増税を計画した。電力消費税はエネルギー危機に陥っていた過去2年間、税率がほぼゼロまで引き下げられていた。
しかしこの予算案には左派連合だけでなくRNも反対し、内閣は財政規律を緩めてフランスの財政基盤を弱めてしまうか、不信任案可決によって退陣するかの厳しい選択を迫られている。
このまま議会で予算案に対する支持が集まらなければ、内閣は早ければ来週にも憲法上の規定を行使して、議会の承認なしで予算成立を強行する公算が大きい。予算案は12月半ばが成立期限だ。
一方RN指導者マリーヌ・ルペン氏は28日の地元紙ルモンドに対し、予算成立が強行された場合、RNが不信任案を提出するのは避けられないと警告した。