政治・経済の安定化進む南ア、投資適格級獲得は当面困難か
南アフリカは5月の総選挙を経て本格的な連立政権が発足し、停電の発生が止まるなど、政治・経済情勢が落ち着きを取り戻しつつある。写真はケープタウンで演説するラマポーザ大統領。昨年2月撮影(2024年 ロイター/Shelley Christians)
Tannur Anders
[ヨハネスブルグ 14日 ロイター] - 南アフリカは5月の総選挙を経て本格的な連立政権が発足し、停電の発生が止まるなど、政治・経済情勢が落ち着きを取り戻しつつある。しかし経済成長はなお他の新興市場国に比べて鈍く、債務の対国内総生産(GDP)比も上昇していることから、信用格付けは当面、投資適格級をかなり下回る水準が続く見通しだ。
南アは何年にもわたり停電が頻発する状態が続いていた。しかし今年に入って連立政権が発足して経済改革を約束し、企業の景況感が改善。停電も「8カ月連続発生なし」を記録した。
ただ財政リスクは解消されておらず、新政府が成長を加速できるかどうか見極めるにはまだ時間がかかりそうだ。
政府が見込む今年の成長率予測はわずか1.1%と、他の多くの新興市場国を下回っている。また債務のGDP比は2009年の23.6%から今年は74.1%に上昇する見通し。政府は先月、26年に75.5%で上昇に歯止めを掛けるとの目標を打ち出した。
S&Pグローバル、ムーディーズ、フィッチの格付け大手3社は現在、南アの長期外貨建て格付けが投資適格級を2段階から3段階下回っている。格付け見通しはいずれも「安定的」。
バンク・オブ・アメリカ証券のサハラ以南エコノミスト、タトンガ・ルシケ氏は南アの信用格付けについて、「投資適格級への議論はまだかなり先のことで、今のところ到達への道のりはまだ遠い」と見る。南アの金融大手Absaのミエラニ・マルレケ氏も「財政の見通しには依然として大きなリスクがある」と指摘。「格付け会社は南ア経済が実際に上向いているという証拠を目にしたがっている」と述べた。