米司法長官指名のゲーツ氏、共和党議員から厳しい目 下院調査報告公表要求も
11月14日、トランプ次期米大統領が司法長官に指名すると表明した保守強硬派のゲーツ前下院議員を巡り、同じ共和党議員の間から厳しい目を向ける動きが広がりつつある。ネバダ州ヘンダーソンで10月31日撮影(2024年 ロイター/Mike Blake)
Sarah N. Lynch Andrew Goudsward David Morgan
[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ次期米大統領が司法長官に指名すると表明した保守強硬派のゲーツ前下院議員を巡り、同じ共和党議員の間から厳しい目を向ける動きが広がりつつある。
ゲーツ氏はトランプ氏が指名方針を発表した直後に下院議員を辞職。超党派の下院倫理委員会がゲーツ氏に対して進めていた性的な不適切行為や薬物乱用に関する疑惑の調査の報告書を15日に公表する予定だったが、この辞職によって調査は打ち切られ、報告書が公表されるかどうかも不透明になっている。
またゲーツ氏は、17歳の少女の性的人身売買に関与した疑いで司法省の捜査を受けた経緯もある。
こうした中でゲーツ氏の指名承認手続きを行う上院司法委員会の共和党ナンバー2であるジョン・コーニン氏は、自身を含めた上院司法委の議員が下院倫理委の報告書の内容を知るべきだとの考えを示した。
コーニン氏は記者団に「上院が判断を下す材料について制約を設けることは望まない」と語り、報告書を見たいということかと聞かれると「絶対に(見たい)」と答えた。
上院司法委で民主党トップのディック・ダーバン氏も、下院倫理委に報告書を公表するよう訴えた。
コーニン氏は、ゲーツ氏の司法長官指名が承認されるかどうかの見通しについて「現時点で票読みするのは時期尚早だ。しかし(ゲーツ氏には)多くの疑念がある」と述べた。
ゲーツ氏は同僚議員の間でも評判が良くない。昨年にはマッカーシー下院議長の追い落としを主導して実際に議長解任につなげ、その後数週間にわたる政治的な混乱をもたらした。
司法長官として適切な人選なのかといった声も聞かれる。共和党のクラマー上院議員は記者団に「ゲーツ氏は単なるお騒がせ屋ではなく壊し屋だ」と言い切り、承認を得るためのハードルは高いとの見方を示した。
ゲーツ氏は司法省や検察畑で仕事をした経験はゼロ。ただトランプ氏周辺は、次期政権が公約としている不法移民の大量強制送還の実行や、議会襲撃事件で服役中の受刑者への恩赦、またトランプ氏訴追に関係した省内の人々への報復といった面で司法長官が重要な役割を背負うと考え、ゲーツ氏を起用したい意向だ。