インタビュー:日銀の利上げ、段階的に1%までは「許容範囲」=立憲・階議員
11月14日、 立憲民主党の「次の内閣」で財務金融大臣を務める階猛・衆院議員(写真)は、ロイターとのインタビューで、円安による物価上昇を抑えるため1%までの利上げは「許容範囲」とし、現在の「異常な金融緩和」から段階的に脱却すべきと話した。衆院予算委員会で1月撮影(2024年 時事通信)
Takahiko Wada Leika Kihara
[東京 14日 ロイター] - 立憲民主党の「次の内閣」で財務金融大臣を務める階猛・衆院議員は14日、ロイターとのインタビューで、円安による物価上昇を抑えるため1%までの利上げは「許容範囲」とし、現在の「異常な金融緩和」から段階的に脱却すべきと話した。日銀の物価目標を現在の2%から「プラス領域」という表現に変更した上で、政府と日銀の共同の目標として実質賃金の上昇を掲げるべきとも述べた。
国会で植田和男日銀総裁とたびたび論戦を交わしてきた階議員は、「物価が安定しないのはひとえに為替(が原因)だ」と指摘。中立金利のレンジの下限である1%程度までなら「金利を上げたとしても引き締めでは絶対にない。緩和の範囲に入っている」と話し、円安の背景にある日米金利差の縮小に向け、日銀は段階的に金利を引き上げる余地があると述べた。
日銀は、経済や物価に対して引き締め的でも緩和的でもない実質利子率である「自然利子率」について、マイナス1%程度―プラス0.5%程度との推計を示している。ここに物価上昇率2%を足すと、名目の中立金利は1%程度―2.5%程度となる。
日銀は実質金利が大幅にマイナスにある中で、経済や物価が日銀の見通しに沿って推移していけば利上げをし、「金融緩和度合いを調整していく」方針を示している。階議員も同様の認識を示した上で、利上げを巡る市場とのコミュニケーションについて、利上げの時期を明示しなくても「1%程度まで引き上げても決して引き締めにはならない」という方向性は示すべきと述べた。
階議員は足元で再び加速している円安について「一部大企業を除けば、この水準を望ましいと考えている人はいないのではないか」と語った。「いま、異常な金融緩和だから円安になっている」とし、円安に伴う物価高に歯止めをかけるため、行き過ぎた金融緩和を段階的に正常化の方向に戻していくべきだと強調した。
立憲民主党は10月の衆院選で、日銀の物価目標をゼロ%超に変更することを公約に掲げた。国民民主党の玉木雄一郎代表が「現在2%前後の物価上昇率をゼロ%近傍までに抑え込むためには、追加の利上げをはじめ、かなりのタカ派的な金融政策が必要」と短文投稿サイトに書き込むなど反響が広がった。
階議員はインタビューで、「ゼロ%超」とは物価上昇率の「プラス領域」の意味だと説明。日銀が2012年に策定した「中長期的な物価安定の目途」で「消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域」としたことを念頭に、具体的なインフレ目標を設定するより「プラスの領域」と表現したほうが適切だと話した。物価目標の上限を設けないのは、金融政策が縛られるためだとした。
その上で「あくまで究極目標は物価を上回る賃金の上昇だ」と強調。実質賃金の上昇を政府・日銀の共同の目標と位置付けるべきとした。日銀の目標に実質賃金や賃金の目標を加えるべきという趣旨ではないと述べた。
(和田崇彦、木原麗花 編集:久保信博)