インド10月インフレ率6.21%、1年2カ月ぶり高い伸び
11月12日、インド統計当局が発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.21%上昇し、伸び率は昨年8月以来1年2カ月ぶりの高い伸びとなった。写真はインドのアーメダバードで2019年3月撮影(2024 ロイター/Amit Dave)
Nikunj Ohri
[ニューデリー 12日 ロイター] - インド統計当局が12日に発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.21%上昇し、伸び率は昨年8月以来1年2カ月ぶりの高い伸びとなった。野菜価格の上昇が全体を押し上げ、ロイターがまとめた市場予想の5.81%を上回った。
インド準備銀行(中央銀行、RBI)の許容範囲(2―6%)を超えたのは1年超ぶり。中銀は4%を中期的な目標にしている。
9月の前年比上昇率は5.49%だった。
食品価格の高騰は中所得世帯の購買力を低下させ、企業収益に影響を及ぼし、アジアで3番目の経済大国であるインドの経済成長に打撃を与えている。
中銀は2024/25年度の国内総生産(GDP)成長率が前年度比で7.2%になると予測。ただ、都市部での消費低迷の兆候を受け、民間では成長率予想を下方修正する動きが出ている。
景気減速の兆しが見られる中で、中銀は今年10月に政策スタンスを「緩和策解除」から「中立」に修正し、利下げ開始への道を開いた。しかし、インフレ率の高止まりは利下げを先送りする可能性が高いことを意味する。
HDFC銀行のプリンシパルエコノミスト、サクシ・グプタ氏は「本日発表されたインフレ率は、RBIによる12月の利下げの扉を閉ざすものだ」とし、「利下げは来年2月だけになる可能性があるとみている」と語った。
今年10月のCPIのうち、ほぼ半分のウエートを占める食品は前年同月比10.87%上昇し、伸び率は9月の9.24%から拡大した。
中でも野菜の上昇率は9月の36%に続き、10月も42.18%と加速し、穀物は9月の6.84%から6.94%に上振れ。油脂も9月の2.47%から9.51%へ急拡大し、主に食用油価格の上昇が全体を押し上げた。
エララ・セキュリティーズのエコノミスト、ガリマ・カプア氏は「食品価格の上昇が11月半ば前に軌道修正するとは見込まれないので、11月CPIに相応の下振れは起こらないだろう」と述べた。
変動が激しい食品と燃料を除いたコアインフレ率は10月が3.7%近くと、落ち着きを維持した。