トランプ氏、国防長官にTV司会者ヘグセス氏指名へ NATOに懐疑的
トランプ次期米大統領(写真右)は11月12日、国防長官にFOXニュース・チャンネルの司会者ピート・ヘグセス氏(左)を指名すると表明した。2017年4月、ホワイトハウスで撮影(2024年 ロイター/Kevin Lamarque)
Phil Stewart Idrees Ali
[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ次期米大統領は12日、国防長官にFOXニュース・チャンネルの司会者ピート・ヘグセス氏(44)を指名すると表明した。
ヘグセス氏は元陸軍州兵で、個人ウェブサイトによると、アフガニスタンやイラク、キューバのグアンタナモ米海軍基地で任務経験がある。
これまでに示した政策上の立場は限られているが、北大西洋条約機構(NATO)に懐疑的な見方を示している。また、国防総省幹部による政策を「(社会正義に目覚めた)ウォーク」として批判してきた。
トランプ氏は選挙戦で、軍の多様性に関する進歩的な政策を推進しているとする高官らの解任を掲げており、ヘグセス氏が議会上院で承認されれば、こうした公約を実行する可能性がある。
ヘグセス氏は米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長についても「左派政治家の過激な立場を推し進めている」などと非難しており、両氏が対立する可能性もある。
トランプ氏は声明で「ピートはタフで賢明で、米国第一の真の信奉者だ」とし、「ピートが指揮を執ることで、米国の敵は、米軍が再び偉大になる、米国は決して尻込みしないと通告を受けることになる」と表明した。
国防総省内では、トランプ氏が忠実でないと見なす軍人や政府職員の一掃を目指すのではないかとの懸念が既に広がっている。
価値観を巡る対立「文化戦争」の問題が解任理由の一つになる可能性がある。トランプ氏はFOXニュースで6月、「ウォーク」の軍高官らを解任すると述べた。
ヘグセス氏も自身の著書で「米国の次期大統領は国防総省の上層部を抜本的に見直し、わが国を守り敵を打倒する準備を整える必要がある。多数を解雇する必要がある」と記している。
同氏は欧州同盟国を痛烈に批判してきた経緯がある。著書で「過去1世紀にわたり欧州の『緊急連絡先』になってきた米国は、彼ら自身がもはや守っていない時代遅れで一方的な防衛協定の尊重を求める独善的で無能な国々の言うことになぜ耳を傾けなければならないのか」と記した。NATO内ではトランプ政権が同盟にどのような影響をもたらすかを巡り懸念が一層強まる可能性がある。
また、中国については「米国を打ち負かすことに特化した」軍を築き、「地域だけでなく世界を支配する広い長期的視野を持っている」などと述べている。