WTOが月内に事務局長再任手続きも、トランプ氏の「横やり」警戒
世界貿易機関(WTO)は11月28―29日に、一般理事会の特別会合を開いてオコンジョイウェアラ事務局長(70)の再任を認める可能性がある。5月11日、ナイジェリアのアブジャで撮影(2024年 ロイター/Marvellous Durowaiye)
Emma Farge
[ジュネーブ 12日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)は28―29日に、一般理事会の特別会合を開いてオコンジョイウェアラ事務局長(70)の再任を認める可能性がある。一般理事会議長が送付した12日付の文書で明らかになった。
オコンジョイウェアラ氏の任期は来年8月31日までで、次期事務局長への立候補届け出は同氏1人だけ。最近のWTOの会合では数十カ国が再任支持を表明したが、数カ月を要する通常の手続きでは、来年1月に発足するトランプ次期米大統領の政権が反対する恐れが出てきている。
第1次トランプ政権は、オコンジョイウェアラ氏の1期目に際して対抗馬に肩入れして同氏の事務局長就任を阻止しようとした経緯がある。結局、米政権がトランプ氏からバイデン氏に移行した後、オコンジョイウェアラ氏は米国の支持を取り付けた。
複数の関係者によると、今回の特別会合はトランプ氏から「横やり」が入らないよう、オコンジョイウェアラ氏の再任手続きを迅速化するのが狙いだ。
文書では、会合初日の28日にオコンジョイウェアラ氏が加盟166カ国に自身が目指す2期目の方針を示して各国代表からの質問に応じ、翌29日に状況次第で加盟国が次期事務局長の人事を承認する機会を設けると説明されている。
ただ関係者は、現時点でオコンジョイウェアラ氏の再任に加盟国が確実に合意する見通しは立っていないと述べた。また一般理事会議長は、意思決定を先送りすることもできるという。
オコンジョイウェアラ氏は、1期目にやり残した漁業補助金削減協定の合意や機能不全に陥った紛争解決機関の改革などに意欲を示している。