ニュース速報
ワールド

WTO事務局長の候補者争いならず トランプ氏の米大統領復権で 

2024年11月09日(土)03時57分

スイス・ジュネーブに本部を置く世界貿易機関(WTO)の次期事務局長の選出を巡り、8日までの期間中に届け出たのは現職のオコンジョイウェアラ氏(写真)だけだと2人の情報筋がロイターに話した。5月撮影(2024年 ロイター/Marvellous Durowaiye)

[ジュネーブ 8日 ロイター] - スイス・ジュネーブに本部を置く世界貿易機関(WTO)の次期事務局長の選出を巡り、8日までの期間中に届け出たのは現職のオコンジョイウェアラ氏だけだと2人の情報筋がロイターに話した。届け出は8日深夜に締め切られる。

来年1月のトランプ氏の米大統領就任後は、報復関税を巡る難しい問題や非難の的になりかねず、WTO事務局長に他に候補者が現れないことは当然と言えそうだ。

2017年から21年にかけての在任中、トランプ氏は鉄鋼とアルミニウムの輸入品に関税を課した。さらに上級委員会の委員の任命を阻止して以降、WTOは機能停止に陥っている。トランプ氏は今回の選挙戦で、全ての輸入品に10%の関税を課すことを主張している。

関連する法律に詳しいアラン・ヤノビッチ氏は「次期米政権に加わる可能性のある人々は、WTOを軽視するか、公然と敵対しているかのどちらかだ」と述べた。「もし全ての貿易相手国に関税を課せば、多くの摩擦と緊張が生じるだろう」とも指摘した。

アブダビで行われたWTO閣僚会合は重要課題で進展がなく、乏しい成果しか得られなかった。 加盟国が全会一致で新しい貿易ルールに合意する必要があり、この仕組みが多くの協議の前進を阻んでいる。

ナイジェリアの元財務相で、WTO初の女性事務局長となったオコンジョイウェアラ氏は、9月に「残された課題」に取り組むとして立候補を発表した。ただ、続投は確実ではない。

トランプ政権下で通商代表を務めたライトハイザー氏は、オコンジョイウェアラ氏を「ジュネーブにおける中国の同盟者」と批判し、トランプ政権は就任を阻止しようとした。

ジュネーブに拠点を置く代表団の1人は「オコンジョイウェアラ氏の再任は既成事実ではない」と話した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

グアテマラ、トランプ氏との関係構築へ 強制送還受け

ワールド

米が関係改善望むなら応じる用意、次期政権の出方次第

ワールド

ガザで報道車両に空爆、イスラエルは戦闘員標的と説明

ワールド

台湾総統府、中国との有事想定した初の机上演習
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 2
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も
  • 3
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシアの都市カザンを自爆攻撃
  • 4
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 5
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 6
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 7
    「とても残念」な日本...クリスマスツリーに「星」を…
  • 8
    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …
  • 9
    日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落
  • 10
    滑走路でロシアの戦闘機「Su-30」が大炎上...走り去…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 7
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 8
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 9
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 10
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中