トランプ氏関税案、完全導入の公算小 実施ならインフレ再燃=S&P
米大統領選で返り咲きを決めたトランプ次期大統領が、輸入品に一律10%、中国製品に60%の関税を課すとした公約は、交渉の出発点に過ぎない可能性が高い。10月撮影(2024年 ロイター/Mike Blake)
[ロンドン 7日 ロイター] - 米大統領選で返り咲きを決めたトランプ次期大統領が、輸入品に一律10%、中国製品に60%の関税を課すとした公約は、交渉の出発点に過ぎない可能性が高い。格付け会社S&Pグローバルが7日付のメモで指摘した。
この水準で関税が課される公算は小さいものの、トランプ氏がこの公約を履行すれば、一律10%の関税が米国のインフレ率を1.8%ポイント押し上げる可能性があると報告書は指摘している。また、最初の1年間でインフレが再燃し、生産を1%ポイントほど押し下げるとした。
中国への関税を60%に引き上げるとインフレ率は最大1.2%ポイント上昇し、生産は0.5%ポイント程度低下する可能性があると指摘した。
S&Pは、政治情勢により米国の制度の健全性が損なわれ、世界の主要準備通貨であるドルの地位が揺らいだり、すでに高い米国財政赤字がさらに拡大したりした場合、現在の米国の信用格付けである「AA+」を向こう2─3年で引き下げる可能性があるとの見通しを示した。