中国軍の研究機関、米メタ「ラマ」活用し軍事用AIツール開発
11月1日、中国人民解放軍に関係する研究機関が、米メタの大規模言語モデル「Llama(ラマ)」を活用して軍事用人工知能(AI)ツールを開発したことが、論文やアナリストの話で明らかになった。写真は、半導体チップを搭載したプリント回路基板におかれた中国とアメリカの国旗。2023年2月撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)
James Pomfret Jessie Pang
[1日 ロイター] - 中国人民解放軍に関係する研究機関が、米メタの大規模言語モデル「Llama(ラマ)」を活用して軍事用人工知能(AI)ツールを開発したことが、論文やアナリストの話で明らかになった。
ロイターが入手した6月の論文で軍の主要シンクタンクである軍事科学院の傘下2機関を含む3つの研究機関の研究員6人は、ラマの初期バージョン「2─13B」を使用して「チャットBIT」と呼ぶAIツールを開発した経緯について詳述している。
独自のパラメーターを組み込んで、情報収集・処理や作戦に関する意思決定に正確な情報を提供することが可能な、軍事特化型AIツールを構築したと説明した。
論文によると、チャットBITは戦場での対話や質疑応答のために最適化されたという。
米オープンAIが開発した対話型AI「チャットGPT─4」の9割の能力を持つAIモデルよりも優れたパフォーマンスを発揮したとした。ただ、具体的なパフォーマンスには触れていない。
メタはラマを無料公開している。7億人以上のユーザーを抱えるサービスには同社から使用許可を取得するよう求めたり、軍事利用や軍需・原子力産業、スパイ行為での使用を禁止しているものの、公開されているため利用規定の実効性は限られている。
メタはロイターの取材に対し、人民解放軍によるいかなる利用も規約に反しているとし、悪用を防ぐための対策を講じたと述べた。
中国研究者の論文は、将来的に技術改良を通じてチャットBITを情報分析や戦略的計画の策定、シミュレーション訓練、指揮系統の意思決定に利用する可能性を探るとした。