モルドバ国民投票、EU加盟方針を僅差で承認 政府は干渉非難
旧ソ連のモルドバで20日に行われた欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票は、賛成がかろうじて半数を超えた。サンドゥ大統領は外部からの「前例のない」干渉があったと非難した。投票所で20日撮影。(2024年 ロイター/Vladislav Culiomza)
Tom Balmforth Alexander Tanas
[キシナウ 21日 ロイター] - 旧ソ連のモルドバで20日に行われた欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票は、賛成がかろうじて半数を超えた。サンドゥ大統領は外部からの「前例のない」干渉があったと非難した。
EU加盟への賛成票は50.17%で、集計がまだ終わっていない票が1.5%弱残っているが、ほぼ確定した。サンドゥ氏が4年以上追求してきた親EU路線の明確な支持には程遠い結果となった。
同時に行われた大統領選挙は、サンドゥ氏の得票率が42%、最大のライバルである元検事総長のストヤノグロ氏が26%となり、11月3日に決選投票が行われることになった。
国民投票の結果が僅差だったことから、EUとの統合を唱えてきたサンドゥ氏は決選投票で逆風に直面することになる。
モルドバは2030年までのEU加盟を目指しており、6月にEUと正式加盟に向けた交渉を開始した。
<不正の明白な証拠>
サンドゥ氏は21日未明、モルドバの利益に敵対的な外国勢力と連携する犯罪集団が30万票を買収しようとした「明白な証拠」があると述べ、「前例のない規模の不正」だと非難。断固とした対応を取ると表明した。
モルドバ政府は詐欺などの罪で有罪となり、ロシアに逃亡した実業家イラン・ショル氏による干渉を警告していた。
警察によると、ショル氏は少なくとも13万人の有権者を買収し、EU加盟に反対し、同氏が推す大統領候補に投票させようとした。
ロシアは投票への干渉を否定。ショル氏は不正行為を否定している。
政治アナリストのバレリウ・パシャ氏は、EU加盟への賛成が僅差で上回ったのは、加盟を支持する海外在住のモルドバ人の投票率が異例なほど高かったからだと分析した。「選挙で数十(%ポイントの票の)買収が可能なら、今後非常に困難なことになるだろう。教訓を学び、対処する必要がある」と述べた。