ニュース速報
ワールド

シンガポール中銀、政策据え置きもリスク警戒 年明け緩和観測

2024年10月14日(月)12時23分

 シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は14日、金融政策を据え置いた。予想通りの決定だったが、アナリストは外部リスクへの防護として来年初めに政策緩和があるとみている。9月撮影(2024年 ロイター/Caroline Chia)

Xinghui Kok Yantoultra Ngui

[シンガポール 14日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は14日、金融政策を据え置いた。予想通りの決定だったが、アナリストは外部リスクへの防護として来年初めに政策緩和があるとみている。

MASは、金融政策手段であるシンガポールドル名目実効為替レート(SドルNEER)の政策バンドの実勢上昇率(傾き)、バンドの幅、中心値をいずれも現行水準に維持した。

声明は「シンガポールのインフレ見通しに対するリスクは、3カ月前と比べ、よりバランスが取れている」と指摘し、成長の勢いが増したとした。

この日発表された第3・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前年同期比4.1%増で、第2・四半期の2.9%増から加速し、エコノミスト予想(3.8%増)も上回った。製造業が寄与した。

OCBCのエコノミスト、セレナ・リン氏は「成長見通しは楽観的な方だ」とした上で、貿易立国のシンガポールにとって地政学と貿易摩擦が懸念事項であり、MASは来年1月の政策見直しで緩和することも可能だと指摘した。

キャピタル・エコノミクスのマーケットエコノミスト、シヴァン・タンドン氏も「金融引き締めの程度や期間が過度というリスクが顕在化し、MASは近いうちに政策を転換するだろう」と述べた。

MASは、2024年の経済成長率が貿易産業省の予測2.0─3.0%の上限に達すると予想したが、外部リスクが来年「重大な」不確実性をもたらすとの見方も示し、「地政学的・貿易摩擦の急激な悪化が、世界と国内の投資と貿易に多大な悪影響を及ぼす可能性がある」と述べた。

コアインフレ率については、24年末までに2%程度まで低下すると予想した。コアインフレ率は、23年初めに5.5%まで上昇した後、鈍化し、7月は2.5%と2年半ぶりの低水準となった。8月は2.7%に上昇した。

MASは、コロナ禍や地政学不安が広がった21年10月から22年10月にかけて、政策引き締めを5回実施した。以降は政策を維持し、今回で6回連続となる。

キャピタル・エコノミクスのタンドン氏は、世界的に需要が鈍化する中、製造業主導の成長に陰りが見え、MASの対応が求められるとし、「金融政策は歴史的に見て非常にタイトだ。MASのインフレに対する懸念は後退しているように思われ、来年1月に政策緩和すると予想する」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進

ビジネス

トランプ氏が解任「検討中」とNEC委員長、強まるF
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 6
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 7
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 8
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中