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ベトナム、自国資金で高速鉄道建設目指す 投資額670億ドル

2024年10月04日(金)13時50分

 10月3日、ベトナムは、首都ハノイと主要経済都市の南部ホーチミンを結ぶ高速鉄道の建設にかかる670億ドルの投資を全て自国で賄い、外国からの資金調達を回避することを目指している。写真はハノイ市内、2月撮影(2024年 ロイター/Khanh Vu)

Khanh Vu Francesco Guarascio

[ハノイ 3日 ロイター] - ベトナムは、首都ハノイと主要経済都市の南部ホーチミンを結ぶ高速鉄道の建設にかかる670億ドルの投資を全て自国で賄い、外国からの資金調達を回避することを目指している。これに対し、一部の専門家はこの目標が非現実的かもしれないとの見方を示している。

2035年までの完成を目指す高速鉄道は、最高時速350キロの列車で約1541キロ離れた両都市をつなぐ計画。運輸省によるとベトナムのインフラ事業として過去最大となる。国家予算から年間平均約56億ドルを12年間支出することになると見積もっている。

国営メディアによると、運輸省のグエン・ダイン・フイ副大臣は「独立自尊の精神に基づき、(共産党の最高意思決定機関の)政治局は(高速鉄道建設で)外国に依存しないことを決定した」と述べた。副大臣は、建設資金は国庫収入と、必要であれば国債発行で賄い、外国からの融資はそれらでは不十分なのが判明した場合だけ検討すると表明。このようなスキームは、「債務の罠」に陥るのを避けるために考案されたとも説明した。

ベトナムの公的債務残高は、23年の国内総生産(GDP)の37%と比較的低い。ただ、年間56億ドルの支出は23年のGDPの1.3%に相当し、ベトナムによる24年の予算支出の約5分の1を占める。

ベトナムを拠点とする外国のインフラ専門家は「理論的には実現可能だが、それほど現実的ではない」と指摘。

別のインフラ専門家は「相当な」にコストになるとし、外国からの支援を受けずに実現できる可能性に疑問を投げかけた。2人ともメディアへの取材許可を受けていないため、匿名を条件に語った。

ロイヤルメルボルン工科大(RMIT)ベトナムの物流専門家、グエン・フン氏は「自国で支出する決定は…政治分野でバランスの取れたアプローチを模索するものだ」と指摘。一方で、ベトナムは最終的に中国、日本、ドイツなどから融資や資金、技術の提供を受けることを模索するようになるとの見通しを示した。

ロイター
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