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肥満薬、ヘルスケア大変革の可能性 治療困難分野に光明=専門家

2023年11月10日(金)01時30分

新たな肥満症治療薬が、薬物乱用といった治療が困難な分野にまで広がる形で米国のヘルスケア体制を変える可能性がある。8月31日撮影(2023年 ロイター/Victoria Klesty/Illustration)

[シカゴ 9日 ロイター] - 新たな肥満症治療薬が、薬物乱用といった治療が困難な分野にまで広がる形で米国のヘルスケア体制を変える可能性がある。米中西部シカゴでの今週のロイター・イベント・トータル・ヘルス会議で講演する出席者が明らかにした。

「GLPー1」に分類される肥満症治療薬は血糖値を調整し、消化を遅らせ、食欲を抑制する仕組み。複数の製薬会社が開発している。

米食品医薬品局(FDA)は8日、米医薬品大手イーライリリーが開発した肥満症治療薬「ゼップバウンド」(一般名チルゼパチド)を承認した。「GLPー1」に分類される肥満症治療薬としては2番目となり、「マンジャロ」の名称で2型糖尿病治療薬としては既に販売されている。

デンマークの製薬大手ノボノルディスクの「ウゴービ」(一般名セマグルチド)は2021年に肥満症治療薬として承認され、糖尿病治療薬としては「オゼンピック」として販売されている。

米国立衛生研究所(NIH)のローレンス・タバック主席所長代理は8日、トータル・ヘルス会議でのインタビューで「脳の満腹部位だけでなく、依存症を制御する可能性のある他の部位の制御という点で、これは何らかの劇的な新しい可能性を開く」と語った。

NIHが支援する研究はまだ「非常に多くのことが進行中」であり、薬剤は副作用を引き起こす可能性があるものの「肥満症や代謝一般、おそらく他の依存的症状などを制御する全く新しい可能性を開く」と言及した。

米薬局チェーン大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの米ヘルスケア担当のトップ、ジョン・ドリスコル氏はGLP-1分類薬剤に対する「莫大な需要」があるとして「こうした薬剤はヘルスケアの体験のあり方を変えると思う」と述べた。

ロイター
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