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金投資、第1四半期は前年比+170% 貿易混乱で3年ぶり高水準=WGC

2025年04月30日(水)16時13分

 4月30日、産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は、店頭取引を含む第1・四半期の世界の金需要が前年同期比1%増の1206トンとなったことを明らかにした。写真は、さまざまなサイズの金塊。 4月22日、ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Chris J. Ratcliffe)

Polina Devitt

[ロンドン 30日 ロイター] - 産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は30日、店頭取引を含む第1・四半期の世界の金需要が前年同期比1%増の1206トンとなったことを明らかにした。

金投資が前年比170%急増し、ロシアがウクライナに侵攻した2022年第1・四半期以来の高水準となった。

金のスポット価格は今年26%上昇。最高値を繰り返し更新している。

WGCのシニア・マーケット・アナリスト、ルイーズ・ストリート氏は「グローバル市場にとって波乱の年明けとなった。貿易の混乱、予測不能な米国の政策発表、地政学的緊張の持続、景気後退懸念の再燃で、投資家を取り巻く環境が極めて不確実になっている」と述べた。

投資では、現物の裏付けがある金ETF(上場投資信託)に大量の資金が流入したほか、金の延べ棒の需要が14%増加した。金貨の需要は32%減少。

中国では金の延べ棒と金貨への投資が12%増の124.2トンと、過去最高だった13年第2・四半期以来の高水準を記録した。

金価格の高騰を受け、金宝飾品の消費は21%減の380.3トン。20年の新型コロナウイルス流行以降で最低となった。

中央銀行の金購入量(報告ベースと推定ベースを含む)は前年比21%減の243.7トン。購入量は減少したものの「依然として高水準で、大規模な購入が続いた過去3年間の四半期平均に沿った水準」だった。

通年では、貿易関連の高いリスクを背景に、金への投資がさらに加速し、中央銀行の金購入量も過去3年間のレンジに近い水準になる見通しという。

Gold supply and demand by WGC*:

Q1'24 Q4'24 Q1'25 Q1'25 change y/y (%)

Supply

Mine production 853.4 957.1 855.7 0

Net producer hedging -8.8 -19.3 5.0 -

Recycled gold 349.6 358.7 345.3 -1

Total supply 1,194.2 1,296.6 1,206.0 1

Demand

Jewellery fabrication: 538.5 520.4 434.0 -19

- Jewellery consumption 480.1 547.5 380.3 -21

- Jewellery inventory 58.4 -27.1 53.6 -8

Technology: 80.2 82.9 80.5 0

- Electronics 66.0 68.8 67.0 2

- Other industrial 11.9 11.9 11.3 -5

- Dentistry 2.3 2.2 2.1 -6

Investment: 204.4 344.7 551.9 170

- Total bar and coin: 317.3 326.0 325.4 3

of which bars 226.8 236.6 257.6 14

of which official coins 66.0 53.5 45.2 -32

of which medals 24.6 35.8 22.6 -8

- ETFs/similar products -113.0 18.7 226.5 -

Central banks, other inst. 309.9 365.1 243.7 -21

Gold demand 1,133.0 1,313.0 1,310.0 16

OTC and other 61.2 -16.5 -104.0 -

Total demand 1,194.2 1,296.6 1,206.0 1

LBMA gold price ($/oz) 2,069.8 2,663.4 2,859.6 38

*Source: Metals Focus, ICE Benchmark Administration, World Gold Council.

ロイター
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