4月ロイター企業調査:9割が石破首相「期待外れ」、次期総理トップは高市氏

4月のロイター企業調査で石破茂首相の政権運営の評価を聞いたところ、「やや期待外れ」と「大いに期待外れ」が合わせて9割を超え、「期待通り」の1割を大きく上回った。写真は、新宿の高層ビル群。2024年11月、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Tetsushi Kajimoto
[東京 17日 ロイター] - 4月のロイター企業調査で石破茂首相の政権運営の評価を聞いたところ、「やや期待外れ」と「大いに期待外れ」が合わせて9割を超え、「期待通り」の1割を大きく上回った。石破政権に求める政策は物価高対策が最多、景気とトランプ米大統領への対応が続いた。次期首相として最も多く名前が挙がったのは高市早苗元総務相で、回答企業の3割を占めた。
調査は4月2日─11日。調査票発送企業は505社、回答社数は222社だった。
「期待通り」と回答したのは9%、「やや期待外れ」は58%、「大いに期待外れ」は33%だった。「景気対策が不十分」(卸売)、「国民との対話で経済を活性化させる施策展開に期待していた」(輸送用機器)、「地方創生、デフレ脱却を掲げていたが現状取り立てて目ぼしい成果は感じられない」(窯業)などの声があった。株価が低迷していることを評価しない理由に挙げる企業(サービス)もあった。
調査期間中の4月2日、トランプ大統領は相互関税を発表した。石破首相は2月の日米首脳会談で日本企業の対米投資と現地雇用の創出をアピールしたが、日本からの輸入品にも24%の関税がかかることになった。「誰が首相であっても防げなかったのだとは思うが、外交面でトランプ関税は大きな失点」(ゴム)との声が聞かれた。一方、日米首脳会談は「評価している」(化学)との意見もあった。
石破内閣は昨年10月に発足した後、衆院選挙で自民・公明の連立与党が過半数割れし、2025年度予算を通すのも野党の協力が必要な難しい政権運営を迫られてきた。コメを中心に食品価格が上昇、「政治とカネ」が国会の主要テーマとなる中、自身が自民党議員に商品券を配布した問題が浮上し、各種の世論調査で低い支持率が続いている。
「少数与党の難しい立場であることは理解する。ある意味やむを得ない状況と考える」(小売)、「カネと政治により、大事な政策が進まない状況が続く」(サービス)とのコメントがあった。
取り組むべき最優先課題については、物価高対策が61%でトップ、次いで景気対策とトランプ政権への対応がそれぞれ55%だった。成長戦略は35%、少子化対策は32%だった。
次の首相として望ましいのは誰かとの問いには、昨年9月の自民党総裁選で決選投票に進んだ高市元総務相が30%でトップだった。保守層が支持基盤とされる同氏は女性初の総理大臣を目指しており、政策面ではリフレ派でアベノミクスの継承を訴えている。
2位は石破首相で10%、3位は8%の同率で林芳正官房長官と国民民主党の玉木雄一郎代表が並んだ。適当な候補が見当たらないという趣旨のコメントが多かった。
今夏の参院選後の望ましい政権の枠組みについて聞いたところ、現在の自公連立政権が31%で最も多く、次いで自公に国民民主党を加えた連立が26%の支持を集めた。野党連合による連立政権への支持は11%だった。
「政策を明確にした上で自民単独」(化学)、 「自民党では良くならない一方で、政権運営できる野党がいない」(輸送機器)などの声があった。
(梶本哲史 グラフィックス作成:照井裕子 編集:久保信博)