4月ロイター企業調査:今年度値上げ、8割超が実施・検討 価格転嫁「できている」7割

4月のロイター企業調査で、2025年度に自社商品・サービスの値上げを検討している企業が7割に上っていることが分かった。写真は、東京・新宿地区のビル群。2021年6月、東京で撮影 (2025年 ロイター/Pawel Kopczynski)
Tetsushi Kajimoto
[東京 17日 ロイター」 - 4月のロイター企業調査で、2025年度に自社商品・サービスの値上げを検討している企業が7割に上っていることが分かった。既に値上げ済みとした13%と合わせて、8割超が今年度中の値上げを実施または検討している。原材料費や人件費の価格転嫁については、十分にできている、もしくはある程度できている企業が7割に達する一方、あまりできていない、全くできていないとする企業も約3割となった。
調査期間は4月2日─11日。調査票発送企業は505社、回答社数は222社だった。
<今年度値上げ、「5─10%」が最多>
値上げを検討中・実施済みと答えた企業のうち、48%が「5%から10%未満」の値上げが必要と回答。次いで「5%未満」が35%、「10%から15%未満」が13%、「15%から20%未満」が2%となった。20%以上の値上げが必要という企業も、卸売、運輸やその他サービス業などで合わせて2%あった。
全企業に、原材料費や労務・人件費等コスト上昇分が価格に転嫁できているか聞いたところ、68%が「ある程度できている」と答えた。2%は「十分にできている」とした。他方、26%は価格転嫁が「あまりできてない」と回答、残りの3%は「全くできていない」とした。
価格転嫁できていないと回答した企業に理由を聞いたところ、54%が「顧客の許容が限界」と回答。38%が「コスト急増」、35%は「価格転嫁の環境にない」と答えた。
ある電機メーカーは「国外を含めた世界を相手にしている場合に、価格競争の激しさに変化がない」とコメント。「運賃は規制が強く、柔軟な改定が困難」(運輸)との声もある。
<初任給引き上げ、やむを得ない>
26年4月以降に入社する社員(大卒総合職)の初任給について聞いたところ、ほぼ半数の49%が「20万から25万円未満」と回答。「25万から30万円未満」が40%で、合わせて9割近くの企業が20万円台と回答した。「30万から35万円未満」も5%あったが、35万円以上とする企業はなかった。20万円未満と答えた企業も1%あった。
人手不足の中で、大卒初任給も引き上げ競争の様相を呈していることには、68%が「仕方がない」と答えた。「困っている」が18%、「当然だと思う」が13%となった。
「仕方がない」と回答した企業からは、「そうしないと人材が確保できない」(卸売)などの声が多数寄せれられた。「少子化でやむを得ない」(小売)、「他社と差があると不利」(機械)といったコメントもあった。
「困っている」と回答した企業からは、「入社済みの社員との格差が発生する」(小売)、「全体的な人件費アップが必要となり、負担が増加する」(運輸)などの声が出ている。
一方、「当然だと思う」と回答した企業からは、「若い世代が消費をしないと経済成長は望めない」(電機)、「人手不足は今後激化する」(不動産)、「人材=資産である商社にとって必要人員の確保が存続要件」(卸売)との声が聞かれた。
(梶本哲史 グラフィックス作成:照井裕子 編集:石田仁志)