関税巡り日米初協議、トランプ氏も参加 為替議論せず月内に次回会合

訪米中の赤沢亮正経済再生相(写真)は米国時間16日、米関税政策を巡るトランプ米大統領や米閣僚らとの初協議で為替は議論されなかったと述べた。2024年10月、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Yoshifumi Takemoto
[東京 17日 ロイター] - 赤沢亮正経済再生相は米ワシントンで16日、関税を巡りトランプ米政権の閣僚らと初めて協議した。トランプ大統領とも会談した赤沢再生相は、協議の中で為替の議論はなかったと記者団に説明。今月中に再度協議することで合意したことも明らかにした。
石破茂首相は日本時間17日午前に官邸で記者団の取材に応じ、今後の閣僚協議の推移を見ながら最も適切な時期に訪米する意向を示した。
<大きな進展あったとトランプ大統領投稿>
赤沢再生相はまずトランプ大統領を交えて50分、その後にベッセント財務長官やグリア通商代表部(USTR)代表らと70分間協議した。
為替については2月の日米首脳会談でベッセント財務長官と加藤勝信財務相で議論することが決まっており、赤沢氏は「(米側は)よく理解している」との認識を示した。
赤沢再生相は米側に対し、自動車や鉄鋼・アルミニウム製品への関税措置は遺憾として早期撤回を要請。内容の詳細についてはコメントを控えた。為替や安全保障について議題になったか記者から問われ、「この言い方をすると分かってしまうところもあるが、為替については出なかった」と答えた。
共同通信は日本政府関係者の話として、トランプ氏から日本の防衛面での負担増に関する発言があったと伝えた。
赤沢氏はトランプ大統領が参加したことについて、日本との協議が最優先であることを体現したもので、大変ありがたいと評価。トランプ氏から「これをやるのだ」という強い発言はなかったとした。
トランプ氏は会談後、自身が運営する交流サイト(SNS)に「貿易に関する日本の代表団に会えて光栄だ。大きな進展だ!」と投稿した。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、トランプ大統領が赤沢氏と会ったことについて、「米側は関税と為替、外交安保をリンクさせる意向が明らかと感じられる」と指摘。「急激な円高を要求される可能性や、在日駐留米軍の思いやり予算増額・防衛費増額計画のさらなる積み増しなどを要求される可能性がある」とみる。
<石破首相「依然立場に隔たり」>
赤沢氏はその後、ベッセント財務長官、グリアUSTR代表らと協議。「米側が何を考えているか如実に分かってしまうので控えたい」と述べ、具体的な内容を明らかにしなかった。「ラトニック米商務長官とグリアUSTR代表は完全に一体として動いている」とし、「米側は(相互関税停止期間の)90日間でディールする考えを持っていると理解している」と述べた。
米側が日本に円高誘導を望んでいるのではないかと記者から問われると、「市場に不測の影響を与えるので私自身はコメントしない」と述べるにとどめた。
日米は今後、閣僚級に加えて事務レベルでも協議を続ける。次回の協議は4月中に開くことで調整し、できるかぎり早期に合意し、首脳間で発表することを目指す。
石破首相は記者団に対し、「日米は依然立場に隔たりがある」と語った。次につながる協議が行われたとした上で、「この問題に最優先で取り組んでいきたい」と強調した。