FRB、景気後退回避に利下げも 関税「大きな衝撃」=ウォラー理事

米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事(写真)は14日、トランプ大統領が掲げる関税政策で米経済は大きな衝撃を受けるとし、FRBは景気後退(リセッション)を回避するために利下げを実施する可能性があるとの考えを示した。2024年11月撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
Howard Schneider
[ワシントン 14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は14日、トランプ大統領が掲げる関税政策で米経済は大きな衝撃を受けるとし、FRBは景気後退(リセッション)を回避するために利下げを実施する可能性があるとの考えを示した。
ウォラー氏はセントルイス公認財務アナリスト協会向けの講演で「(トランプ政権が掲げる)新たな関税政策は、米経済に対する過去数十年で最大の衝撃の一つ」とし、多くの不確実性が存在していると指摘。FRBは現在、米経済が「地面を這うようなスピード」に減速し失業率が5%に上昇するというシナリオと、 経済情勢は数週間前の予想とほとんど変わらないという2つのシナリオの間で板挟みになっていると述べた。
トランプ大統領が掲げる関税措置の全てが実施された場合、物価への影響は一時的なものになるとみられるものの、生産と雇用への影響は長期化する恐れがあるとし、「経済が著しく減速し、景気後退入りの恐れがある場合、自分自身のこれまで予想よりも早い時期に、より大きな度合いでの利下げを支持する」と語った。
その理由として「経済が急速に減速する中、インフレ率が(FRBが目標とする)2%をはるかに上回っていたとしても、特に関税によるインフレ上昇の影響が短期間で終わると予想される場合、景気後退のリスクはインフレ悪化のリスクを上回る」と述べた。
一方、トランプ政権が各国と行う交渉の結果、関税率がが平均10%程度に抑えられれば、金融政策の見通しは一連の関税措置が発表される前の3月1日以前の予想とそれほど変わらない公算が大きいと指摘。関税措置による物価への影響が比較的小さければ、インフレ率は目標の2%に向けて引き続き低下するとの見方を示し、この場合は利下げが検討されるのは下半期になると語った。
FRBは3月18─19日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定。先週公表された同FOMCの議事要旨で、米経済は高インフレと成長鈍化が同時に起こるリスクに直面しているとの見解でほぼ一致していたことが分かった。