関税でインフレ加速リスク、政策現状維持が適切=ボストン連銀総裁

4月10日、米ボストン地区連銀のコリンズ総裁(写真右)は、トランプ米政権が推し進める大規模な関税措置により、少なくとも短期的にインフレが加速し成長が鈍化するのはほぼ確実との見方を示した。2024年8月、ワイオミング州ジャクソンホールで撮影(2025年 ロイター/Ann Saphir)
Michael S. Derby
[ニューヨーク 10日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は10日、トランプ米政権が推し進める大規模な関税措置により、少なくとも短期的にインフレが加速し成長が鈍化するのはほぼ確実との見方を示した。
また、物価安定と雇用下支えのバランスを取ろうとする米連邦準備理事会(FRB)は金融政策で困難なトレードオフに直面する可能性があるとした。
ジョージタウン大学での講演原稿で「金融政策はこの不確実性の高い環境で、幅広い経済的な結果の可能性に対処するのに適した位置にある」とし、「当面は現在の金融政策スタンスを維持することが適切」との見方を示した。
同時に、あらゆる不確実性を踏まえると、政策や実体経済がどのように展開するか判断するのは難しいとし、金融政策は目先、インフレ上振れリスクと成長下振れリスクを管理する必要があると指摘。インフレ期待が大きく上昇しないよう抑制することが特に重要だと強調した。
インフレ率については、長期的にFRBの2%目標に低下すると予想した。ただ、トランプ政権の政策はなお流動的で変更される可能性があるものの、ボストン連銀は関税引き上げによってコアインフレ率が短期的に3%を「大きく上回る」可能性があると試算しているとも述べた。
その上で、不確実性の高さを踏まえると、「金融政策は機敏になる必要がある」と語った。
「年内の利下げが依然として適切な可能性がある」とした一方、「関税がインフレ期待を不安定にしないという確信が必要なため、物価圧力が再燃すれば一段の政策正常化が遅れる可能性がある」との見方を示した。
インフレが高水準にある中、「経済活動が予想以上に弱まるリスクに対して予防的な措置を講じるには、説得力のあるシグナルが必要だ」とも述べた。