銀行・信金の貸出、3月は+2.8% 米関税の影響は今後「上下双方」

4月10日、日銀が発表した3月の貸出・預金動向によると、銀行・信金計の貸出平残は前年比2.8%増の636兆6597億円だった。写真は円紙幣。都内で2022年11月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Takahiko Wada
[東京 10日 ロイター] - 日銀が10日に発表した3月の貸出・預金動向によると、銀行・信金計の貸出平残は前年比2.8%増の636兆6597億円だった。伸び率は前月を下回ったが、残高は00年1月以降の最高を更新。引き続き、M&A(企業の合併・買収)関連や不動産関連、経済活動の改善に伴う資金需要がみられている。米国の関税措置に伴う先行きの貸出残高への影響について、日銀担当者は現時点で押し上げと押し下げ双方考えられるとした。
業態別にみると、都銀等が2.4%増の255兆5058億円で、伸び率は前月の2.9%を下回った。昨年見られた大型案件の影響剥落に加え、為替円高で外貨建て貸出の円換算値が目減りした。地銀・第二地銀は3.6%増の302兆9758億円で、残高は1991年7月以降で最高を更新した。信金は1.0%増だった。
米国の自動車関税や相互関税を受け、各地の金融機関が相談窓口を設置している。日銀の担当者は米国の関税措置に伴う貸出残高への影響について「押し上げる方向と押し下げる方向と両方考えられる」と指摘。企業の業績悪化に伴う運転資金の借り入れやサプライチェーン再構築は貸し出しを押し上げるとみられる一方で、不確実性の高まりによりこのところ増えているM&Aに絡む資金需要が減退するリスクもあるとし、今後の推移を注視していきたいと話した。
預金平残は、都銀・地銀・第二地銀の3業態と信金の合計で前年比0.9%増の1049兆0816億円だった。都銀は1.0%増の480兆1299億円と、伸び率が前月の2.0%を大きく下回った。貸し出しの伸び鈍化や政府支援策の影響一巡、預金から運用資産へのシフトが伸び率の縮小につながったとみられる。