ニュース速報
ビジネス

トランプ氏関税で自動車業界に激震、価格上昇の可能性 株価下落

2025年03月27日(木)13時41分

 トランプ米大統領が26日、米国に輸入される全ての自動車と外国製自動車部品に25%の関税を課すと発表したことで、内外の自動車メーカーに衝撃が走った。写真はGMの電気自動車工場の組み立てロボット。カナダ・オンタリオ州インガソールで2022年12月撮影(2025年 ロイター/Carlos Osorio)

Nora Eckert Kalea Hall David Shepardson

[デトロイト/ワシントン 26日 ロイター] - トランプ米大統領が26日、米国に輸入される全ての自動車と外国製自動車部品に25%の関税を課すと発表したことで、内外の自動車メーカーに衝撃が走った。

今回の関税が長期にわたって継続された場合、米国で販売される一般的な車両の価格が数千ドル上昇する可能性があり、北米全域の自動車生産に支障をきたす恐れがある。調査会社グローバルデータによると、昨年米国で販売された自動車の半分近くは輸入車だった。

ゼネラルモーターズ(GM)の株価は引け後の時間外取引で8%下落した。フォードとステランティスの米国上場株はそれぞれ約4.5%下落した。アジアでは、トヨタ自動車、ホンダ、現代自動車が3─4%安となっている。

電気自動車(EV)大手テスラの株価は1.3%下落した。同社は米国で販売される全ての車両を国内で生産しているが、一部輸入部品を使用している。

トランプ氏は、今回の自動車関税はテスラにとって中立的かプラスに作用する可能性があるとの見解を示した。またテスラの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏から助言を受けていないと明言した。

マスク氏は、関税はテスラにも影響するとXに投稿した。別の投稿で、「海外から輸入するテスラ車の部品価格に影響を与える。コストへの影響は小さくない」と指摘した。

主要な外国自動車メーカーによる業界団体オートス・ドライブ・アメリカは、「(新たな関税は)米国で自動車を生産・販売するコストを押し上げ、最終的には価格上昇、消費者の選択肢の減少、米国での製造業における雇用減少につながる」との見解を示した。

オートフォーキャスト・ソリューションズのアナリスト、サム・フィオラニ氏は「カナダとメキシコの工場に数億ドル、数十億ドルを投資してきた企業は、今後数年とは言わないまでも、数四半期で利益が大幅に減少する可能性が高い」との見方を示した。

「これは全てを混乱させるため、われわれは販売と生産の予測を調整することになる」と語った。

コックス・オートモーティブは関税の詳細が発表される前に、免税措置がない場合、米国製自動車には3000ドル、カナダとメキシコ製自動車には6000ドルが上乗せされると予測していた。

また、4月中旬までに「事実上全ての」北米自動車生産に混乱が生じ、1日当たりの生産台数が2万台(約30%)減少するとしていた。

実際には一時的な免除措置が導入されている。米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づき自動車を輸入する事業者は、米国内で生産された部品を使っていることを証明できれば、その分の関税を免除され海外製の部品に対してのみ関税が適用される。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震、インフラ被災で遅れる支援 死者1万

ビジネス

年内2回利下げが依然妥当、インフレ動向で自信は低下

ワールド

米国防長官「抑止を再構築」、中谷防衛相と会談 防衛

ビジネス

アラスカ州知事、アジア歴訪成果を政権に説明へ 天然
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中