アングル:FRB「様子見モード」に投資家安心、不確実性の大きさで共感

3月20日、米連邦準備理事会(FRB)が19日までの連邦公開市場委員会(FOMC)後に示した「様子見モード」の姿勢は、投資家をある程度安心させる効果があった。米首都ワシントンで2017年5月撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
Davide Barbuscia Laura Matthews Suzanne McGee
[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が19日までの連邦公開市場委員会(FOMC)後に示した「様子見モード」の姿勢は、投資家をある程度安心させる効果があった。
トランプ大統領が就任以来、矢継ぎ早に打ち出した関税政策は株安を通じて企業や消費者のマインドを冷やしてしまった。最近のロイターによるエコノミスト調査では、米経済の景気後退リスクが増大したとの見方が支配的。何人かの政権幹部でさえ、関税などの政策が少なくとも短期的に傷みを伴う可能性があると本音を漏らしている。
投資家も政権が今後減税や規制緩和に動くといった期待要素と、関税に伴う貿易戦争と景気後退リスクのどちらに目を向けるべきか軸足を定められないままだ。
こうした中でFRBは経済成長とインフレの双方に対するリスクが高まっていると認めたものの、持続的な物価上昇が起きる、あるいはトランプ政権の通商政策によって経済が重大な打撃を受ける、といういずれのシナリオも政策運営に織り込むのをなおためらっている。
パウエル議長が発した「米経済は不確実性が高く、FRBは事態がずっと明確になるのを待っているところだ」とのメッセージは市場の共感を呼んだ。
ウィルシャーのジョシュ・エマニュエル最高投資責任者は「FRBはさまざまな経済リスクに感度を合わせている。今は非常に大きい不確実性が存在する局面で、大統領の政策がどうなるか分からない中、重大な金融政策の変更を示唆するのは無責任だというはっきりした認識があるのだと思う」と述べた。
イーグル・アセット・マネジメントの戦略インカム担当マネジングディレクター、ジェームズ・キャンプ氏は、トランプ政権の政策を巡る不確実性に起因する消費と設備投資の手控え姿勢がいつまで続くのかまだ判明していないと指摘。「FRBの考えが根本的に変わってきたと信じるに足る話は何も聞かなかった」と語り、顧客には運用資産構成をむやみに変更しないよう助言したと明かした。
インサイト・インベストメントの北米債券責任者を務めるブレンダン・マーフィー氏は、米国債と社債に資金を振り向ける方針を維持していると話す。足元で4.25%の10年国債利回りは、成長減速観測を背景に向こう1年で3.9%まで低下する見通しだという。
今回のFOMCで投資家にとってやや明るい材料と受け止められたのは、バランスシート縮小(量的引き締め=QT)を4月からペースダウンするとの発表だった。政府の借り入れ上限引き上げを巡る問題で、市場流動性の評価が難しくなりかねないためとみられている。
エンジェル・オーク・キャピタルの公共戦略ポートフォリオ管理を統括するクレイトン・トリック氏は「FRBが市場安定を確実に維持しようとしているのは間違いない」と述べた。