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2025年03月21日(金)10時02分

 3月のロイター企業調査で、2025年度の業績見通しを聞いたところ、36%が1割以上の営業増益を見込んでいると回答した。写真は、鉄管の製造工場。2013年4月、川崎で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

Miho Uranaka

[東京 21日 ロイター] - 3月のロイター企業調査で、2025年度の業績見通しを聞いたところ、36%が1割以上の営業増益を見込んでいると回答した。要因として「内需」を選択する企業が6割を超えたほか、値上げの浸透を挙げる声が目立った。逆に1割以上の減益を見込む企業は約20%で、6割近くがコスト増を理由に挙げた。想定為替レートは1ドル=140円台とする企業が8割弱を占めた。

調査は3月5日─3月14日。調査票発送企業は505社、回答社数は225社だった。

2割以上の増益と回答した企業は12%、1割の増益が24%だった。利益の押し上げ要因として、「内需」を選んだ企業は64%、「外需」の38%が続いた。製造業、非製造業ともに3割超の企業が1割以上の増益を見込んでいるが、最大の要因は製造業が「外需」で59%、「内需」は49%だった。非製造業は78%が「内需」、16%が「外需」だった。

「生産財、消費財共に様子見だった市場が活性化する」(機械)、「受注増」(情報サービス)などの声が出ていた。「半導体工場や防衛関係の工事」(サービス)、「防衛関連事業を保有している」(精密機器)として防衛や半導体関連予算の増加による貢献のほか「M&A(合併・買収)による規模拡大」(サービス)といった回答もあった。

1割、2割以上の増益と答えた企業は合わせて36%と、2024年3月に実施した同様の調査と同率だったが、労務費を商品やサービス価格に「転嫁できていない」との回答が際立った前回に比べ、値上げが進んでいる様子が伺えた。今回は回答企業から「昨年実施した価格転嫁が想定以上に受け入れられた」(化学)、「価格改定が追い付くことにより営利を改善させると期待」(輸送用機器)、「50年の歴史で始めて価格転嫁を実施した」(精密機器)など値上げによる利益押し上げ効果に期待する声が多数寄せられた。

2割以上減益と回答した企業は10%、1割減益と答えた企業も10%だった。要因として57%の企業が「コスト増加」を挙げ、「内需」の減退が34%で続いた。具体的には「原料高、競争激化、コスト増」(食料品)、「人件費、水道光熱費負担の増加」(小売)、「需要落ち込みによる注文の減少、固定費など上昇による支出増大」(金属)などの声が聞かれた。「中長期的な要因である少子高齢化、物価高騰による需要低迷の傾向が年々感じられる」(不動産)といったコメントもあった。

25年度の想定為替レートは、1ドル「1ドル=140円台」が77%で最多だった。「150円台」が15%、「130円台」は7%だった。為替相場が円高方向に傾く中、「160円台」を想定している企業はなかった。

(浦中美穂 グラフィック作成:照井裕子 編集:久保信博)

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