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米新規失業保険申請2000件増の22.3万件、労働市場安定 見通しには影

2025年03月21日(金)04時35分

米労働省が20日発表した15日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比2000件増の22万3000件だった。写真は2021年9月、米ニューヨーク・マンハッタンで撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly)

Lucia Mutikani

[ワシントン 20日 ロイター] - 米労働省が20日発表した15日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比2000件増の22万3000件だった。小幅な増加にとどまり、労働市場の安定を示唆した一方で、貿易摩擦の激化や連邦政府支出の大幅削減により、見通しには影が差している。  

ロイターがまとめたエコノミスト予想は22万4000件だった。

今回のデータは3月の雇用統計の調査期間と重なっている。

3月8日までの1週間の継続受給件数は3万3000件増の189万2000件。ワシントンDC、メリーランド州、バージニア州で増加し、連邦政府の請負業者などの雇用喪失が示された。

1週間遅れで報告される連邦職員失業保険制度(UCFE)プログラムでの申請件数は514件減の1066件。政府機関縮小の一環としてトランプ政権が進める公務員の大量解雇による影響が小幅ながらも示された。 

アナリストらは、実業家イーロン・マスク氏が事実上率いる「政府効率化省(DOGE)」による急速な人員削減は、解雇された労働者が失業給付を申請しにくくする形で行われているケースもあると指摘する。

また、センチュリー財団(ニューヨーク)のアンドリュー・ステットナー上級研究員は、解雇された連邦政府職員に復職命令が出るなど、政権の混乱を招く措置によって、完全に失業扱いとなっていない職員が多くいると述べた。

トランプ米政権は今週、裁判所への提出文書で、仮採用の連邦政府職員約2万5000人を解雇したことを初めて認めた上で、解雇は違法の可能性が高いとする連邦地裁の判決を受け連邦機関が全員の復職を進めていると明らかにした。

JPモルガンのエコノミスト、アビエル・ラインハート氏は、政府が機関の再編計画や、契約支出の見直しを行っている段階であることを考えると、「ワシントンDC地域の連邦政府職員と民間部門労働者の失業保険申請件数は間もなく増加する可能性が高い」と指摘。

3月の雇用統計で雇用の伸びに若干の悪影響が出る可能性があるものの、「現時点でその影響は劇的なものにはみえない」と述べた。

ロイター
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