アジアのヘッジファンド、株安でも健闘 中国株が寄与

3月14日、3月に入りトランプ関税への懸念から米国を中心に株式市場が下げる中、アジア株に投資するヘッジファンドが健闘している。写真は、中国・香港の中環地区交易広場の外を歩く人々。2月撮影(2025年 ロイター/Tyrone Siu/File Photo)
[香港 14日 ロイター] - 3月に入りトランプ関税への懸念から米国を中心に株式市場が下げる中、アジア株に投資するヘッジファンドが健闘している。中国株の堅調が寄与し、米株に投資するヘッジファンドを上回る運用成績をあげている。
モルガン・スタンレーの12日付のプライム・ブローカー・ノートによると、3月は10日時点でアジアのヘッジファンドが平均で0.71%のマイナス。これに対し米国のヘッジファンドは2.6%のマイナス、グローバルに投資するヘッジファンドは1.7%のマイナスだった。
アジアのヘッジファンドも市場下落で打撃を受けたが、年初来のパフォーマンスは米国を上回り、その差は拡大。米国の景気後退を懸念する投資家にとって、アジアが避難先になっていることを示す。
BNPパリバのアジア太平洋地域プライム・サービス責任者ニック・シルバー氏は「アジア株式ロング/ショート戦略、特に単一国の運用が今年非常に好調だ」と述べ、アジア地域には最近の市場下落がさほど波及していないとの見方を示した。
モルガン・スタンレーが追跡するアジア株式ロング/ショート戦略ファンドは年初来で2.8%上昇している。
米株市場は今週もトランプ関税を巡る懸念で急落した。
ゴールドマン・サックスによると、世界のヘッジファンドのリスク回避と損失抑制の動きで、7日と10日の2日間に過去4年間で最大の株式ポジションの巻き戻しが起きた。ハイテク株が中心のナスダック総合指数は10日に4%急落した。
この巻き戻しは、アジアでは、日本で取引している一部のマルチマネージャー型ヘッジファンドに影響を与え、日本株のロングポジションの解消を迫られたとされる。
米株下落を受けヘッジファンドは中国株にシフト。中国株購入額は2024年9月の相場上昇時のほぼ2倍に達したとモルガン・スタンレーと推定する。香港株式市場のハンセン指数は、1月のトランプ米大統領就任以降、約20%上昇している。
モルガン・スタンレーによると、ヘッジファンドは3月31日に空売りが解禁される韓国株への投資を再開する構えという。
BNPパリバのシルバー氏は、アジアの投資家は機敏に動くと述べた。