マスク氏率いるテスラ、米政権に報復関税巡る打撃への配慮を要望

3月13日、米電気自動車(EV)大手テスラは、トランプ政権が進める関税政策を巡り、標的相手が同社を含めた米国の主要輸出企業に実施するとみられる報復関税で打撃を受ける事態への配慮を要望した。米首都ワシントンで11日撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
David Shepardson
[ワシントン 13日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラは、トランプ政権が進める関税政策を巡り、標的相手が同社を含めた米国の主要輸出企業に実施するとみられる報復関税で打撃を受ける事態への配慮を要望した。
テスラは11日付の米通商代表部(USTR)宛て書簡で、政権の関税政策が「不注意で米企業にダメージを与えないようにすること」が大事で、同社としては過去の貿易摩擦で起きたような、相手国による報復関税に直面するのは避けたいと記している。
またテスラは、米国の輸出企業は政府の措置に他国が対抗した場合、本質的に不相応に大きな悪影響を受けてしまうと指摘。サプライチェーン(供給網)の現地化をいくら積極的に進めても、一部の部材は米国内で調達するのは難しいか不可能だと訴えた。
その上で「米国の製造業者かつ輸出業者として、テスラはUSTRに不公正な貿易慣行に対処するための特定措置が下流部門に及ぼす影響を念頭に置くよう促す」と述べ、企業側としては適切なサプライチェーン整備や法令順守の準備を整えられる段階的な実行方式がありがたいと説明した。
テスラの書簡は米国の貿易政策について各企業からUSTRに送られた数百通の一つだが、同社最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏はトランプ大統領の盟友であり、連邦政府の規模を縮小するホワイトハウスの取り組みを主導しているため、特に注目されている。
このほか、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、BMW、ホンダ、現代自動車などの主要外国自動車メーカーでつくる業界団体「オートス・ドライブ・アメリカ」も、関税が「米組み立て工場の生産を阻害する」とUSTRに警告した。
「自動車メーカーはサプライチェーンを一夜にして転換することはできず、コスト上昇は必然的に消費者価格の上昇、消費者に提供される車種の減少、米国の生産ラインの停止といった事態を引き起こし、サプライチェーン全体で雇用が失われる可能性がある」としている。